久保建英は「インサイドハーフのほうが生きる」 日本代表OBが語る待望のA代表初ゴールが生まれた訳
【専門家の目|栗原勇蔵】ウイングよりも中央にいた分、三笘のパスに反応してゴール
日本代表(FIFAランキング23位)は6月10日、ノエビアスタジアム神戸で行われたキリンカップでガーナ代表(同60位)と対戦し、4-1の勝利を収めた。21歳のMF久保建英(マジョルカ)は、A代表17試合目にして待望の初ゴール。元日本代表DF栗原勇蔵氏は、「インサイドハーフのほうが生きる」と起用について語った。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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日本は4-3-3システムを継続したうえで、久保とMF柴崎岳(レガネス)をインサイドハーフ、MF遠藤航(シュツットガルト)をアンカーに起用。右にFW堂安律(PSV)、左にFW三笘薫(ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ)を起用して中央にはFW上田綺世(鹿島アントラーズ)が起用された。
立ち上がりから主導権を握った日本は前半29分、DF山根視来(川崎フロンターレ)が先制ゴールをマークすると、同点とされて迎えた同アディショナルタイムに、三笘が勝ち越しゴールを奪取。さらに後半28分、左サイドで三笘が縦に仕掛けてマイナスに入れたボールに久保が左足で合わせて、2019年6月9日の国際親善試合エルサルバドル戦でのデビューから約3年、17試合目にしてA代表での初得点をマークした。
この日の久保は、これまでのウイングではなく、中盤に入ったインサイドハーフでの起用。ボールを受ける機会も多く、フル出場を果たして存在感を示した。ゴールのシーンも、インサイドハーフでプレーしていたからこそだと栗原氏は見解を述べる。
「久保も堂安も三笘も上田もすごく積極的で、みんな前向きにプレーしていました。点が入るのは時間の問題だと思った。久保に関して言えば、インサイドハーフのほうが生きるなと。ゴールに関しては三笘のお膳立ても大きかったけど、あの(シュートを打った)場所に入ってこれたのは中にいたから。タッチがうまいからバイタルのところで受けてチャンスを作ったり、堂安とのコンビも良かった。今日のプレーを見る限り、より狭い場所でプレーさせたほうがいい印象でした」
インサイドハーフはMF田中碧(デュッセルドルフ)やMF守田英正(サンタ・クララ)、MF原口元気(ウニオン・ベルリン)、MF鎌田大地(フランクフルト)らライバルが多いが、それはウイングのポジションも同様。複数のポジションをできるのは今後、アピールポイントになるかもしれないと栗原氏は語る。
「どのポジションにもライバルがいるので、対応できるポジションが多いほうがチャンスは回ってくるかもしれない。前半16分、いい場所で直接フリーキック(FK)のチャンスがあったと思います。あそこでFKをモノにしていたら、今蹴れる選手がいないなかでアドバンテージになったはずなので、そういうところを詰めていきたいところですね」
カタール・ワールドカップ(W杯)のメンバー入りに向けて、当落線上と言われていた久保だが、ここから逆襲が始まりそうだ。
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栗原勇蔵
くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。