森保ジャパン、6月シリーズ残り2戦で「活躍を期待」する選手は? 出番のない上田、久保に必要なことを検証

FW前田大然、MF久保建英、FW三笘薫、FW上田綺世、DF伊藤洋輝【写真:高橋 学】
FW前田大然、MF久保建英、FW三笘薫、FW上田綺世、DF伊藤洋輝【写真:高橋 学】

【識者コラム】日本はキリンカップでガーナと、チュニジア対チリの勝者と対戦

 日本代表はキリンチャレンジカップ・パラグアイ戦に4-1で勝利。同ブラジル戦には0-1という結果以上の差を突き付けられた日本代表だが、ここまでの2試合で得た経験を踏まえながら、残るキリンカップの2試合(10日/ガーナ戦、14日/チュニジア対チリの勝者)をしっかり戦って、カタール・ワールドカップ本番までの準備につなげてもらいたい。

 ここまで主にパラグアイ戦で起用された選手、ブラジル戦で起用された選手、まだ出番をもらえていない選手といるが、キリンカップで大きなアピールが期待される5人を選んだ。

■上田綺世(FW/鹿島アントラーズ)

 パラグアイ戦、ブラジル戦と出番がなく、ヤキモキしている”綺世ファン”も多いかもしれないが、練習で観る限りは時折、笑顔も見られる。自分にフォーカスしながら、前向きに虎視淡々とチャンスを狙っている様子だ。シュート練習ではやはり他の選手とは威力が違う。キーパーを務めていた権田修一が「綺世の右足、まじで危ないですよ」と笑顔で、ゴールの斜め後方で撮影中のカメラマンに注意を促していた。

「長い時間なら駆け引きするし、短い時間なら一発狙うのもありかなと思います」

 そう語る上田が狙うのはもちろんゴールだ。ただし、代表では2トップの鹿島とまた異なる動きも求められる。上田は「起点になることもそうだし、競り合いも1つ、また背後に抜けてスペース作るってことも大事になる」とポイントを押さえながら、やはりタイミングよくゴール前で仕事できるかにかかってきそうだ。

■前田大然(FW/セルティック)

 パラグアイ戦で後半から、ブラジル戦では古橋亨梧に代わり後半22分から投入された。パラグアイ戦に関しては「決定機を外してしまったので、いまは悔いしか残っていない」と振り返る。一方のブラジル戦については「ボールに関わらせてくれなかったというのが一番。スピードとかの前に、その前でシャットアウトされた」と力の差を痛感させられた。

 それでも守備では前からのプレッシングでブラジル側を追い込むシーンが何度か見られた。特にGKアリソンにギリギリのクリアを強いた場面では「足に当ててゴールに入るのを想像していた」と悔やむほど。やはりスピードのある選手が揃う日本のアタッカー陣でもその走力は特別なものがある。キリンカップでは攻守にわたり持ち前のスピードを発揮しながら、チャンスに決め切るという仕事をやり切って生き残りにつなげてもらいたい。

■伊藤洋輝(DF/シュツットガルト)

 パラグアイ戦では左サイドバックとセンターバックの両ポジションで起用されて、上々の代表デビューとなった。ただ、ブラジル戦でこそ観たかったところもある。しかし、もうキリンカップの2試合で真価を示して、次の招集につなげていくしかないだろう。もともと左足のフィードには定評があるが、サイドバックというポジションで三笘薫を内外から追い越してクロスに持ち込むなど、パラグアイ戦では新たな一面を出すことができた。セットプレーのターゲットマンとして可能性を示したこともポジティブだ。

 残り2試合でどちらのポジションがメインになるのか分からないが、求められるのは周囲との連係面、さらにゲームコントロールの部分だ。特にセンターバックで起用された場合はパラグアイ戦のように、1つのミスパスが失点に直結するポジションなので「二度としてはいけない」という言葉通りに注意するべきだろう。ただし、そうしたことばかり意識して消極的になったら元も子もない。縦に差し込むパスやサイドチェンジなど、ビルドアップ面でも良さを出しながら対人のところで強さと安定感を見せられるか。もし森保監督が3バックを採用するなら、さらにアピールチャンスになるが。

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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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