A代表入りを狙える逸材もズラリ Jリーグで飛躍が期待されるスピードスター候補10選
大学卒業を待たずにプロ入りした森、期待のルーキー古川にも注目
■森 海渡(柏レイソル/FW/22歳)
・今季J1成績:7試合4得点0アシスト
名は身体を表すと言われるが、まさしく「海のように大きく、海を渡る」という名前の由来にふさわしいアタッカーへの道を進んでいるように見られる。ノルウェー代表FWアーリング・ブラウト・ハーランドが憧れと公言するように、身長185センチというサイズに加えてスピードがあるので、規格的には外国人FWの選手にも引けを取らないスケールを感じさせる。
特に瞬発力がスペシャルで、マークを外すというよりは引き離してフィニッシュに持っていける。周りのパスに合わせるだけでなく、ドリブルで持ち込んでのシュートも得意だ。大学の卒業を待たずに柏とプロ契約したのも選手としての大きな野心があるからだろう。
■岩崎悠人(サガン鳥栖/FW/23歳)
・今季J1成績:15試合0得点1アシスト
もともとの本職は前線のストライカーだが、可変性の高い鳥栖のシステムで左ウイングバックとして輝きを増している。岩崎の持ち味はトップスピードのランニングを何回も繰り返せること、それを90分間続けられる能力はJリーグでも飛び抜けたものがある。
走行距離だけでなく、スプリント回数も常に上位に名前を連ねていることが何よりの証拠だ。鳥栖は走るだけでなく、流れの中で素早く判断していくことがキーになってくる。スピードや運動量をどう生かして勝利に貢献しているかに注目したい選手だ。
■古川陽介(ジュビロ磐田/MF/18歳)
・今季J1成績:2試合0得点0アシスト
単純なランニングが飛び抜けて速いというわけではないが、ボールを持った時の推進力、一瞬でディフェンスを破って行く鋭さは高卒ルーキーにして、すでにJリーグ屈指の破壊力を秘める。
U-19日本代表の合宿に初めて参加した時に「自分のドリブルはオンリーワンだと感じだ」と語った古川は、戦術的なタスクを少しずつ覚えながらも、決して自分の武器を失わずに磨いて行くことをモットーにしている。まずは磐田でゴールやアシストという目に見える結果を出し、主力の座を確保することが先決だが、大きな飛躍を遂げてほしい俊英の1人だ。
■沼田駿也(レノファ山口/FW/23歳)
・今季J2成績:19試合5得点2アシスト
関西の大学サッカーでも気鋭のゴールハンターとして注目を集めていた。それだけにJ1でキャリアスタートしてもおかしくなかったが、維新の地からJ1昇格を目指す山口でのチャレンジを決断した。
俊足であることに加えて、判断の早さがストライカーとしての才能をさらに輝かさせている。現在は左ウイングのポジションを任されるが、縦突破よりも斜めに飛び出してゴールを脅かす姿勢が強く、DF橋本健人との左のコンビは山口のストロングになっている。現状の課題はパフォーマンスの波で、そこが改善されていけば若きエースとして君臨できるはずだ。
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。