メッシも、ネイマールも「お爺ちゃん」 現代サッカーでは異質、守備時は“シルバーシートでOK”な10番たち
36歳モドリッチは攻守によく働き、時々「お爺ちゃん」枠に
メッシより年上のルカ・モドリッチはまだ「お爺ちゃん」の枠ではない。36歳だが、クロアチア代表では右インサイドハーフとして攻守によく動いている。ただ、レアル・マドリードではカリム・ベンゼマと2トップの形で守備に入ることも多く、時々「お爺ちゃん」枠になっている。
メッシ、ネイマール、モドリッチが全員背番号10なのは偶然ではないだろう。かつて10番といえば特別な背番号だった。ストライカーでもプレーメーカーでもなく、あるいはその両方でもある。自由にプレーし、攻撃を牽引した。とびきり個性的でプレーぶりは芸術的だった。どのチームにも10番がいたものだが、現代のサッカーにはその余裕がなくなっている。10番がいるとしても、ハードワークする10番、献身的な10番だ。ただ、もうそんなのは10番じゃないとも思う。
それでもチームに素晴らしい10番がいるなら使わない手はない。その時は、よく分からないポジションに置かれている。もともと10番はそんな感じではあったのだが、周囲に助けられ、気を遣われながら、「ここは、お爺ちゃんよろしく!」と頼りにもされる現在の年齢高めの10番は、ちょうどいい感じの収まり具合なのかもしれない。
(西部謙司 / Kenji Nishibe)
西部謙司
にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。