新鋭DF伊藤洋輝は「間違いなく長友佑都らを脅かす」 日本代表OBが断言…森保ジャパンで「世界レベル」の強み誕生も
【専門家の目|金田喜稔】「レフティー特有のパスはチームにとってプラス」と分析
森保一監督の率いる日本代表は6月2日、札幌ドームでパラグアイ代表とキリンチャレンジカップを行い、4-1で完勝した。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏は、この試合で日本代表デビューを飾った新鋭DF伊藤洋輝(シュツットガルト)を称賛し、「間違いなく長友佑都、中山雄太らを脅かす存在になる」と先発争いに食い込める逸材として高く評価している。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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現在23歳の伊藤はジュビロ磐田の下部組織でプレーし、2017年にトップチームへ昇格。その後、名古屋グランパスへの期限付き移籍を経て復帰し、20年にはJ2リーグで37試合2ゴールとフル稼働したなか、21年夏にドイツ1部シュツットガルトへ活躍の場を移した。
今季公式戦31試合に出場して飛躍を遂げた伊藤は、今回の6月シリーズで代表初招集。2日のパラグアイ戦では左サイドバック(SB)でスタメンに名を連ね、A代表デビューを飾った。左足から高精度のフィードを前線に送り、先制ゴールの場面でもFW浅野拓磨(ボーフム)にパスを通して起点となるなど存在感を放っている。
金田氏は先制点の場面以外にも光るシーンは多かったと言及。「伊藤のキックは魅力的で、相手の背後を狙ってワンタッチで浅野に出したパスがあった。レフティー特有の軌道で背後に出すパスが増えるのは、チームにとってプラスだ。また、パスの受け手としては選択肢が増えるし、相手への脅威になる」と語る。
後半はセンターバック(CB)としてプレー。失点につながるパスミスもあったが、金田氏は「ドイツでプレーして感じているはずだが、代表でも改めてミスの重みを感じたはず。当然、ワールドクラスが相手だと、確実にゴールにつなげてくる」と指摘した。
そのうえで「失点につながったミスパスは、本人が一番悔やんでいるはず。日本代表デビュー戦での反省を糧に、ここから一気に飛躍してくれればいいわけで、取り立てて糾弾するようなプレーではない」と触れつつ、伊藤が秘める可能性について触れていく。
金田喜稔
かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。