ファインダー越しに見える個性 久保建英と三笘薫のプレー写真に表れた“対照的な違い”とは?

カメラのファインダー越しに感じた独自の光景をお届け【写真:徳原隆元】
カメラのファインダー越しに感じた独自の光景をお届け【写真:徳原隆元】

【カメラマンの目】立ちはだかるマーカーによって姿が隠れるのが久保建英の特徴

 サッカーは選手、スタッフ、レフェリー、記者・解説者、フォトグラファーなど、それぞれの立場から見える世界がある。22歳の時からブラジルサッカーを取材し、日本国内、海外で撮影を続ける日本人フォトグラファーの徳原隆元氏が、カメラのファインダー越しに感じた独自の光景をお届けする。

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 カタール・ワールドカップ(W杯)まで半年を切った今、6月2日に行われたキリンチャレンジカップのパラグアイ戦(4-1)から始まった6月の代表戦シリーズは、ピッチに立つサムライブルー(日本代表選手)たちにとって、対戦するチームから勝利を目指すだけでなく、本大会のメンバー入りを賭けたチームメイトとの内なる競争の場でもある。

 サッカー選手であるならば、4年に1度開催される世紀の祭典のピッチに立ちたいと願うのは至極当然のことだろう。カタールの地に立つために、選手たちはW杯での成功の道を探る森保一監督に向けて、自分がチームにとっていかに必要であるかを示さなければならない。

 メンバー入りを勝ち獲るためには、指揮官が目指すチーム戦術の理解と遂行は選手に求められる絶対条件である。さらに、選手たちにはW杯に出場する選手として推される理由が必要となる。

 それは個としての存在感だ。それも現代サッカーの潮流であるチームを構成するひとつのコマとして戦う戦術の重要性が増したなかで求められる特別な個性だ。

 そうした選手たちから創造される個性は、ゴール裏で構えるカメラのファインダーを通して切り取られた一瞬の写真から感じるとことができる。

 札幌ドームの試合で後半26分からピッチに立った久保建英。彼の特徴はマーカーを置き去りにする、小刻みなボールタッチと切れ味の鋭いフェイントである。しかし、相手ゴール前付近のマークがより厳しくなる場面では、DFを抜き切ることなく、瞬時に敵によって限定されてしまったパスやシュートコースを見つけ出し放つ、針の穴を通すような正確なプレーだ。この駆け引きを、敵からプレッシャーを強く受けるペナルティーエリア内で行なえる技術を備えている。

 そのため、久保を捉えた写真には、相手選手が彼の前方を塞ぐように重なり合い、それでいてボールだけはマークをすり抜けて写っているということがある。写真として相手の選手によって主役の姿が隠れてしまっていては、久保を“表す”一枚とはならないが、これは彼の“プレーの特徴を表す”シーンなのだ。

徳原隆元

とくはら・たかもと/1970年東京生まれ。22歳の時からブラジルサッカーを取材。現在も日本国内、海外で“サッカーのある場面”を撮影している。好きな選手はミッシェル・プラティニとパウロ・ロベルト・ファルカン。1980年代の単純にサッカーの上手い選手が当たり前のようにピッチで輝けた時代のサッカーが今も好き。日本スポーツプレス協会、国際スポーツプレス協会会員。

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