白い巨人と共に歩んだ7年 クラシコ決勝弾のペペが挙げた両手の持つ意味

栄光と辛苦を繰り返した男の言葉

◇リーガ・エスパニョーラ第9節 レアル・マドリード3-1バルセロナ(10月25日=サンティアゴ・ベルナベウ)
「デシマ(UEFAチャンピオンズリーグ10度目の優勝)は偶然なんかではないことを表現したかったんだ」
 レアル・マドリードのDFペペは25日、バルセロナとのエル・クラシコで3-1の勝利を収めると、自信に満ちた笑顔でそう口にした。
 1-1の同点で迎えた後半5分、右CKから放たれたボールを誰よりも高い位置で出迎え、ヘディングでネットへと突き刺した。そして、勝ち越しゴールを奪ったペペは、観客に向かって大きく開いた両手をたかだかと挙げた。それが指し示した意味は数字の「10」。デシマであったというわけだ。
「優勝するのにたくさんの努力をした。栄光をつかむために必死で努力し続けていることを、ファンには理解してもらいたい」
 決して順風満帆ではなかった。2011年のクラシコでは退場を喫し、チームも敗れた。昨季はホーム、アウェー共に大量失点に見舞われ、バルセロナにダブルを許してしまった。若きフランス代表DFラファエル・ヴァランの台頭もあり、出番も徐々に限られてくるようになった。決して平らな道のりではなかったからこそ、この魂の勝ち越しゴールには、大きな意味があったのかもしれない。
 ペペに抱かれている世間のイメージは、決して温かなものではない。制御を失う闘争本能は、たびたび問題を引き起こしてきた。09年のヘタフェ戦では、倒れたMFハビエル・カスケーロの背中や脚を蹴って一発退場となり、10試合の出場停止処分が下った。宿敵バルセロナには、ペペのラフプレーを集めた告発ビデオまで作成されたことがあるという。
 しかし、センターバックとしては、非常に優秀なプレーヤーである。クラシコではこれまで幾度となく「メッシ封じ」の第一人者として、“エル・ブランコ”の後衛に君臨してきた。歴代監督のマヌエル・ペジェグリーニ、ジョゼ・モウリーニョらも、正念場では必ずと言っていいほど、このポルトガルのファイターを頼った。
 この日、大一番であるクラシコを制した男は、こう言葉にする。
「私たちは昨季よりも強い。時間が経つにつれ、われわれの動きは段々自動的に良くなっていっている。今日それが証明された」
 ペペがサンティアゴ・ベルナベウのピッチに足を踏み入れてから7年の月日が経った。栄光、挫折をクラブとともにしてきた、ペペの視線は、常にリーガ覇権の奪還、そして、デシマの向こう側にある。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

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