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内田篤人を積極活用 シャルケが手掛ける日本向けのPR戦略
一般的なファンへの求心力は不十分
ファンツアーに関しては、現時点で他の日本人選手やヨーロッパのビッグクラブと比べても、シャルケ&内田の集客力は突出している。
とはいえ、現時点でシャルケがドルトムントやマンチェスター・Uのように、日本企業と大型スポンサー契約を結んでいるわけではない。 広報担当者のイルマス氏の答えもやや湿り気味だ。
「多くの日本のファンがシャルケのHPにある有料公式ページの会員になっているし、練習場やスタジアムに日本からの仲間がたくさん来てくれているのは君も知っているだろう? ただ、現時点で具体的な売り上げなどの数字は答えることはできない」
確かにクラブ公式のフェイスブックやツイッターには、多くの日本人がコメントを残したり、シェアしている跡が見てとれる。だからこそ、クラブも日本語ページなどを用意した。
しかし、シャルケがウェブ上で発信するニュースに頻繁にアクセスできる層はかなりコアなファンであり、コアであるゆえにコメント欄などでコミットする。それを見る限りは、日本人のシャルケへの関心は非常に高いように見えるのだが、彼らはいわば「ラウド・マイノリティー」だ。
つまり、一部の特別に熱心な人が積極的にコミットしているに過ぎない。それ以外の大部分を占める「サイレント・マジョリティー」にあたる、一般的なファンへのシャルケの求心力は、現時点では不十分なのだ。
とはいえ、日本での爆発的な内田人気が、十分に日本企業との結びつきを深める可能性を持っているのは事実。だからこそ、シャルケは日本語版の公式ツイッターやフェイスブックで、まるで”内田ファンクラブ“のごとく情報を更新している。内田を通して、いかにシャルケに関心を持たせるか。シャルケの内田PR術はまだまだ始まったばかりだ。
【了】
ミムラユウスケ●文 text by Yusuke Mimura