板倉滉、ドイツで芽生えた日本代表への自信と向上心 募らせる世代交代への危機感「もっと上を驚かせるような存在に」
ドイツ代表では19歳や20代前半の選手がA代表で活躍
ワールドカップで対戦するドイツ代表を例にあげれば、22歳ニコ・シュロッターベック(フライブルク)、20歳カリム・アデイェミ(ドルトムント)、19歳ジャマル・ムシアラ(バイエルン)、19歳フロリアン・ヴィルツ(レバークーゼン)といった選手がどんどんA代表で起用されている。彼らは「経験を積むために」という理由だけで出場させてもらっているわけではない。
そういう配慮ももちろんあるが、ドイツ代表ハンジ・フリック監督は「ドイツ代表はベスト選手が集まるところ」と明言している。若いからというだけで使ってもらったりはしない。所属クラブですでにレギュラーやそれに準ずるポジションを確保している彼らは、実力でチームを助けてくれる存在だということを証明しているからこそ、ノミネートされ、そして試合でもプレー時間を与えてもらえる。
選手には急成長期というものがある。乗りに乗っていて、取り組む経験全てがポジティブに作用していく時期がある。ポテンシャルあふれる若手選手の起用法はクラブと代表とでは違ってくるだろうが、その資質を認めるのであれば、彼らが確かな経験と自信と課題を持ち帰り、そこからさらにステップアップしていくための機会をどのように作り出していくのかを考慮し、実践することが大事なポイントとなるだろう。
板倉ら若い世代のこれからの成長は楽しみでしかない。
(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。