久保建英、今季リアル評価&来季レアル復帰の可能性は? マジョルカ地元記者の見解「大きな問題も残されている」
【スペイン発コラム】久保にとって、開幕前に思い描いたものとは異なるシーズンに
久保建英のリーガ・エスパニョーラへの挑戦3年目は、最終節でのマジョルカ1部残留という劇的な展開で幕を閉じた。
今季終盤、残留争いを戦うマジョルカの新監督に就任したハビエル・アギーレが守備的な戦術を用いたことで久保は控えが増えていった。最後の3試合でチームが2勝1分0敗という好成績を残した一方、久保はすべてベンチスタート。さらに、勝てば自力での残留が決定する重要な最終節オサスナ戦では、ベンチ入りした今季のリーガで初めて出場機会が与えられなかった。
久保が後半開始直後にアップを開始したことで、直近の2試合同様、途中出場すると思われた。しかし、同時キックオフした残留争いのライバルであるカディスが後半31分にアラベス相手に勝ち越し点を決めたことで状況が一変する。
アンヘル・ロドリゲスのゴールにより1-0でリードしていたマジョルカだが、もしオサスナに追い付かれ引き分けに終わった場合は2部降格となるため、アギーレ監督は追加点を狙うのではなく、1点を守り切るためにセンターバック(CB)を投入するという超守備的な戦い方へとプラン変更した。
これにより30分以上アップしていた久保はベンチに戻され、代わりにフランコ・ルッソがアップを開始し、後半37分に出場した。結果的にこの交代が功を奏した。マジョルカはオサスナの攻撃を完封し、さらにクレマン・グルニエの追加点で2-0の勝利を挙げ、自力での残留を決めてアウェーの地で歓喜の瞬間を迎えた。
久保は今季のリーガを28試合(先発17試合)、1606分出場、1得点0アシストという成績で終了した。ビジャレアルとヘタフェでプレーした昨季が31試合(先発10試合)、1093分出場、1得点1アシストだったことを考慮すると、怪我による2か月間の戦線離脱がありながらも、出場時間が増え、終盤まではチームの主軸としてプレーし、十分な1年だったかもしれない。しかし得点面は向上しておらず、おそらく開幕前に思い描いたものとは異なるシーズンだったであろう。
高橋智行
たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。