「街全体がサッカーを呼吸している」 鹿島レジェンドDFジョルジーニョがチームとサポーターに献身した訳

ジョルジーニョは今も鹿島ファミリーからの愛情に感謝を忘れない【写真:藤原清美】
ジョルジーニョは今も鹿島ファミリーからの愛情に感謝を忘れない【写真:藤原清美】

鹿島で受けたサポーターからの愛を永遠に心に刻む

 当時は現役を引退していたジーコの、変わらない存在感の大きさも印象に残る。

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「覚えているのは、ミーティングでジーコが話す時、選手はみんな、フリーズしたようになって、聞き入っていたこと。ジーコはその直後の試合で実際に起こりえることを、明確に説明してくれたから、一言も聞き逃したくなかったんだ」

 サポーターとの思い出も多い。

「勝った時はもちろんだけど、鹿島のサポーターは、僕らが敗れた時も称えてくれたんだ。たとえ良い試合ができなくても、闘志を持って戦ったことを理解してくれた。僕のために歌ってくれたよね。『ジョールジーニョ、オ~、ジョールジーニョ、オ~』。あの声がよみがえって、泣きそうになってしまう。鹿嶋は小さな街だから、チームとサポーターがすごく近い存在でいられるし、街全体がサッカーを呼吸しているんだ。

 選手として、監督として、みんなと人生をともにしたことを、心から誇りに思っている。僕は、あれほど尊重されたことはなかった。あれほど愛され、あれほど信頼されたことはね。鹿島でそうだったように。それをこれからの人生でも、決して忘れることはない。みんなを愛しているよ。そして、アントラーズファミリーの一員であることへの感謝をもう1度伝えたい。どうもありがとう。本当に、ありがとう」

[プロフィール]
ジョルジーニョ/1964年8月17日生まれ、ブラジル出身。アメリカRJ―フラメンゴ―レバークーゼン(ドイツ)―バイエルン(ドイツ)―鹿島―サンパウロ―ヴァスコ・ダ・ガマ―フルミネンセ。右サイドバック、ボランチとこなし、攻守でチームを支えたユーティリティーで、ブラジル代表としてワールドカップ優勝も経験。鹿島在籍4年間でJ1リーグ通算103試合17得点。リーグ優勝を果たした1996年にはMVPとベストイレブンに輝いた。2022年5月18日に母国ブラジル1部アトレチコ・ゴイアニエンセの監督に就任。

藤原清美

ふじわら・きよみ/2001年にリオデジャネイロへ拠点を移し、スポーツやドキュメンタリー、紀行などの分野で取材活動。特に、サッカーではブラジル代表チームや選手の取材で世界中を飛び回り、日本とブラジル両国のテレビ・執筆などで活躍している。ワールドカップ6大会取材。著書に『セレソン 人生の勝者たち 「最強集団」から学ぶ15の言葉』(ソル・メディア)『感動!ブラジルサッカー』(講談社現代新書)。YouTubeチャンネル『Planeta Kiyomi』も運営中。

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