【ジャッジ検証】VAR介入でPKに変更 鹿島DF関川郁万のハンド判定、ジャッジ基準となるのは?
浦和が獲得したPKを沈め、1-1の引き分けに持ち込む
5月21日に行われたJ1リーグ第14節の浦和レッズ対鹿島アントラーズは、1-1の引き分けで決着した。この試合の前半終盤、浦和にペナルティーキック(PK)を与えた鹿島DF関川郁万の「ハンドの判定」を検証する。
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前半6分、鹿島が大きな展開から最後はMFアルトゥール・カイキがボレーで叩き込み先制する。浦和はリーグ戦で6試合連続のドローと厳しいなか迎えた試合で厳しい展開となったが、同39分に難しいシーンが訪れる。
左サイドを深くまで攻めると上がってきたMF明本考浩が左足でクロス。しかし関川がスライディングでブロックしようとした際、関川の右腕に当たってコースが変わり、GKクォン・スンテがキャッチした。
西村雄一主審はこの時点で“ノーハンド”の判定だったが、プレーが切れたタイミングでビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が介入。オンフィールドレビューまでしたあと、関川に「ハンドの反則」があったとして浦和にPKを与え、キッカーを務めたDFアレクサンダー・ショルツが決めて同点に持ち込んだ。
ハンドの大前提として「競技者の手や腕にボールが触れることのすべてが反則にはならない」とルールには明記。また、腕の上限は「脇の下の最も奥の位置のところまで」と記されている。
このシーンでは、関川の右腕の位置が判定の1つの基準となる。ハンドの大きな定義は以下のとおり。
(1)意図的にボールに触れる
(2)ボールが手や腕に当たったことの妥当性(不自然に大きくした/大きくしていない)
(3)偶発的にボールに触れた直後に得点する(得点者自身)
該当シーンでは(2)「ボールが手や腕に当たったことの妥当性」に注意して見ると、ここは主審の裁量に任されている部分でもあるが、関川の右腕が身体からある程度離れている点から考え、ハンドの反則である可能性は高いだろう。
補足として、競技規則には明記されていないが、日本サッカー協会(JFA)が発信している「大きなバリア(障壁)」という基準の考え方もある。相手選手のシュートやクロスボールをブロックするような場面で、手や腕が体から離れた場所でボールと接触し影響をもたらすことだという。これに当てはまる時、その手や腕の位置や動きは“妥当性”がないとして、ハンドの反則となる。
「ハンドの反則」はいくつかの条件があるなかで、主審の判断で意見が分かれるグレーな部分。審判団、そしてVARの協力体制のなか、Jリーグでも試合を積み重ね、判定は精査されてきている。