フランクフルト、悲願のEL優勝の舞台裏 高原直泰の激励、出血、涙…「1人のヒーローなんていない。僕らみんながヒーローだ」
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フランクフルトFW、「心臓が止まるかと思った」と緊張のシーンを回想
バルセロナ戦、ウェストハム戦で大事なゴールを決めたFWアンスガー・クナウフは「なんて言っていいかなんて分からないよ。PK戦の時は心臓が止まるかと思った。ファンと一緒に喜びたい。僕らは成し遂げたんだ。もうただただ素敵だよ。トラッポ(トラップの愛称)が止めてくれるって思っていたんだ」と、まだ現実を受け入れられない様子でテレビインタビューに答えていた。
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昨年まで3部リーグのドルトムントセカンドチームが主戦場だった選手が、銀色のトロフィーを抱きしめて歌っている。そんなストーリーもフランクフルトらしい。
フランクフルト5人目のFWラファエロ・ボッレが豪快にPKを決め、優勝を実現させた瞬間、選手が走り出した。鎌田も、長谷部も素敵な笑顔でチームメイトと抱き合っていく。みんなの力で手繰り寄せた結末だ。物語はいつか終わりがくる。これ以上ないフィナーレを迎えてここでピリオドが打たれるのだろうか。
違う。彼らの旅はまだ終わっていない。怪我で離脱中ながらユニフォーム姿でベンチ入りしていたDFマルティン・ヒンターエッガーが語っていた。
「僕らの旅は続いていく。次は、チャンピオンズリーグだ」
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中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)取得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなクラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国で精力的に取材。著書に『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。