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上を目指し続けるサムライ・フットボーラー 瀬戸貴幸の挑戦
「まだまだ行ける、成長できる」
「(前半23分、GKとほぼ1対1で放ったシュートを外して)狙いすぎましたね。センターバックが飛び込んでくると思ったんで、それでちょっと右にシュートがずれた。ボールもうまく足に当たってなかったと思います。もったいないですね、あれ決めてたらホントにどうなっていたか。
セルティックはもっとすごいチームだと思っていました。ホームでは無敵だと聞いてたんで。(やってみたら)そこまでではなかった。今季は調子が良くない(現在国内リーグ5位)と聞いていましたけど。こういう均衡した試合は数少ないチャンスを決めなくてはいけないのに、決められず、逆にセットプレーから失点してしまった。もったいないです。
怪我人が多くて、フォワードがいないというチーム事情があってトップ下で使われましたが、今日のポジションはいつもより前だったんで、個人的には納得できていない。あまり(トップ下は)慣れていないんです。相手を背負うプレーって得意じゃないんで。今はボランチが一番なんです。そこで勝負がしたいというのが本音ではあります」
確かにトップ下でためを作り、中盤と最前線をつなげるプレーがいいと感じたが、前に出るプレーもよかった。そう聞くと、「3部に入った当時はフォワードでした」という。それならあのシュートセンスもうなずける。瀬戸にはストライカー経験があった。
そういう決定力も秘めて、今は相手と常に対峙するボランチが本職だと胸を張る。次のヨーロッパリーグもセルティックと当たるが、今度はホーム。故障者も復帰して、ボランチに戻った瀬戸がどんな戦いを見せるのか本当に楽しみだ。
最後に、28歳という、サッカー選手として全盛期といわれる年齢に差し掛かっていると水を向けてみた。すると瀬戸は心外だともいえるような表情になってこういった。
「いや、ないですね。28歳で今が全盛期だとは思わないですし、まだまだ行ける、成長できると思ってます」
もしかすると今回のブラジルで心を折られた日本代表は、銭金じゃなく、ただただ純粋に上に行きたい、最高を見てみたいと願う、瀬戸のような本物のサムライ・フットボーラーを必要としているのかも知れない。
【了】
森昌利●文 text by Masatoshi Mori