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上を目指し続けるサムライ・フットボーラー 瀬戸貴幸の挑戦
「日本は何でもあるし、何でも揃うけど、その分、窮屈」
そんな瀬戸は、海外で活躍するために最も大切なのは「折れない心」だという。
「ここで一番成長したと思うのは、メンタル面だと思います。海外でやることで一番大切なのは、心が折れないことだと僕は思う。試合に全然使ってもらえない時は、確かに心が折れそうになる。そういう時期は僕にもあった。昨シーズンがそうだったんですけど、(中東からの)オファーを断ったことが理由で干されてしまった。けれどもその時も黙って黙々と練習して、与えられたチャンスで結果を出した。辛いからといってやめてしまうと、心がね」
辛い時に心を折らない。それはサッカー選手だけに限らず、どんな人間にも必要なことだと思うが、プロの世界で成功するにはさらに強くて太い気持ちが必要だ。
また言葉、文化、風習、食べ物が違う海外でやるということも難しい。しかも瀬戸は妻帯者。2歳半の男の子がいて、もうすぐ2人目の女の子も生まれる。
しかし、「子供が二人ともルーマニア生まれになります」といって笑う瀬戸にとって、海外暮らしはマイナスに作用しないらしい。
「もうルーマニアも8年目、言葉もぺらぺらなんで。生活にも慣れて……、まあ奥さんも日本にはたまに帰るくらいでちょうどいいっていっています。日本にいると、早くルーマニアに帰りたいっていう(笑)。日本は何でもあるし、何でも揃うけど、その分、窮屈。僕も奥さんもそうなんです。まあたまに日本に帰って、日本食をがっつり食いたいとも思いますけど(笑)、まあそこにあるもので何とかやっていくというのも大事です」
ラテン系ではあるが、ルーマニア語は日本人にとってあまり馴染みのない言語だ。ところが瀬戸は、本当に少数の日本人しかしゃべれない言葉を流暢に操り、ルーマニア・テレビの取材にも応じる。
それに瀬戸夫人もルーマニア暮らしを楽しんでいるという。伴侶のこうした感性も、日本人MFのヨーロッパリーグ進出を助けた大きな要因となっていることは間違いない。
しかし、上を目指し続ける瀬戸は、ヨーロッパリーグという大舞台に立っても、そこを決して終点とはしない。かつて中村俊輔が神として崇められたチームに1-2で負けた試合を振り返り、できなかった不満をあらわにすると、今度はこうするというリベンジの意思も明確にした。