マジョルカの命運は? 1部残留を懸けた最終節、アギーレが久保に託し得るタスクは何か
ベンチへ“格下げ”になっている久保、良い形でシーズンを締め括れるか
今のところそれなりの結果を出している5バック体制だが、中盤構成はよりバランス重視、守備サポートの要素が強くなり、基本戦術となりつつある2トップも積極的に守備に回るケースが見られる。とはいえ、守り切るというケースはほぼないため、1失点は覚悟しなければならないという試合プランになるのではないか。
考え方を変えれば、攻撃強化の最初のオプションとして久保が入るケースはかなりの確率で存在する。均衡状態になりどうしても勝たなければならない展開の15~20分、または先手を許した場合、投入はさらに前倒しになるかもしれない。
リーガ最終節は多くのチームが目標達成に向けた最後の戦いに挑む。一方でオサスナのように早い段階でノルマに達したチームはさらに上の目標には届かず無気力状態になる。だからこそまことしやかに語られるのは「マレティン」。スーツケースを意味するこの単語は自分たちの都合のいいように他チームへ現金供与し便宜を計ってもらうということだ。
これには大きく2つあり、1つはライバルの対戦チームに勝利ボーナスとして贈りモチベーションを高めるというもの。もう1つは目の前の相手に負けてもらうためのものになる。
アギーレ監督は過去、この件で関係者として裁判所に出廷しており日本代表監督の座から追われた経験がある。今回、古巣オサスナとの対戦ということで、疑いの目を向けられる可能性も少なからずあるだろう。
そういったむしろピッチ外でのプレッシャーのなかで、本来の力を発揮しなければならない。久保にとってはそれまで先発を獲得していたところからベンチへ“格下げ”になっているが、シーズンを良い形で最後を締め括ることが、今後の選手キャリアでさらなるステップアップを成し遂げるための土台になる。
(島田 徹 / Toru Shimada)
島田 徹
1971年、山口市出身。地元紙記者を経て2001年渡西。04年からスペイン・マジョルカ在住。スポーツ紙通信員のほか、写真記者としてスペインリーグやスポーツ紙「マルカ」に写真提供、ウェブサイトの翻訳など、スペインサッカーに関わる仕事を行っている。