森保ジャパン入り推薦、アジア最終予選“未招集”の7人 下剋上の可能性十分…序列を覆し得る有望株は?
欧州で成長した川辺は“本番仕様”のプレースタイルで評価の可能性も
■川辺 駿(グラスホッパー/MF)
やはり欧州で大きく成長しているタレントの1人で、昨年6月に行われた2次予選のタジキスタン戦でゴールを記録するなど、森保監督としても呼びやすい選手と言える。スイスの地で確かな成長を示して、プレミアリーグのウォルバーハンプトンとの契約を勝ち取ったニュースは記憶に新しいが、現在の日本代表にいないタイプで、特にスピードのあるFWを生かす要素を多く兼ね備えていることが“本番仕様”での評価を高めるのではないか。
1つ目はボックス・トゥ・ボックスの機動力で、2つ目は広島の大先輩であるMF青山敏弘直伝の“一本のパス”だ。やはりドイツやスペインといったチームが相手になると、日本は中盤でボールを持つ余裕がほとんどない。攻守のトランジションが鍵を握る展開で、シンプルな展開から短い時間で前線に駆け上がり、それが終わればすぐに帰陣できる走力は大きな強みになる。そして1本の長いスルーパスでMF伊東純也(ヘンク)、FW浅野拓磨(ボーフム)、古橋、FW前田大然(セルティック)といった高速FWを生かせるうえに、動き出しのタイミングで勝負する上田とも合いそうだ。
■藤本寛也(ジル・ヴィセンテ/MF)
一人サプライズ枠ではないが、興味深いタレントをここに加えたい。J2の東京ヴェルディから直接ポルトガルに渡ったので、よく知らない人も多くいるかもしれないが、2019年のU-20W杯で“99ジャパン”の主力を担った左利きのタレントだ。左足の精度は日本人選手の中でも飛び抜けており、長短のパスを自在に操ることができる。セットプレーのキックもスペシャルだ。攻撃ビジョンに優れた選手であり、ジル・ヴィセンテでも早くから出番を得ていた。
ただ、当初はウイングの起用が多く、悪くはないがA代表に推すほどのインパクトはなかった。しかし、4-3-3のインサイドハーフや4-2-3-1のトップ下など、中央で出場チャンスを得ると持ち前の技術とセンスで数多くのチャンスを作り出している。ポルトガルの1部クラブで10番を付ける選手であり、ビルドアップ、チャンスクリエイト、フィニッシュのすべてで違いを生み出せる。欧州組のMFでも川辺に比べたら招集の可能性は高くないだろうが、筆者の目線としては何も驚きはない。
(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。