遠藤航は“感情的”長谷部と真逆の主将 冷静な男が熱くなった最終節までの“舞台裏”「まだ終わってないぞ」

遠藤の背中が与える安心感 「遠藤良ければ、すべて良し」

 冒頭のシュツットガルト対ケルン、後半アディショナルタイム。ダイビングヘッドでボールを突き刺した遠藤が熱く咆哮している。仲間との歓喜の輪が解かれると、彼はおもむろに左手に付けていた腕章を外し、それを天に掲げた。その勇姿に見惚れた観衆から大歓声が上がる。ここからが彼の真骨頂だ。再びキャプテンマークを付け直し、厳しい表情で味方に声を掛ける。

「まだ終わっていないぞ」「もう一度集中しよう」

 その風情が、チームに絶大なる安心感をもたらす。これこそが彼の織り成すキャプテンの矜持だ。

 思えば今季のシュツットガルトは彼のゴールで幕開けを飾り、彼のゴールでシーズンを締めた。ドイツには日本と同じく「終わり良ければ、すべて良し」という言葉がある。ドイツ語で記すと「Ende gut, alles gut」。試合終了直後、クラブの公式ツイッターはこう綴った。

「Endo gut, alles gut」(遠藤良ければ、すべて良し)

 激動の、そして意義深い、シュツットガルトと遠藤の2021-2022シーズンが幕を閉じた。

島崎英純

1970年生まれ。2001年7月から06年7月までサッカー専門誌『週刊サッカーダイジェスト』編集部に勤務し、5年間、浦和レッズ担当を務めた。06年8月よりフリーライターとして活動を開始。著書に『浦和再生』(講談社)。また、浦和OBの福田正博氏とともにウェブマガジン『浦研プラス』(http://www.targma.jp/urakenplus/)を配信しており、浦和レッズ関連の情報や動画、選手コラムなどを日々更新している。2018年3月より、ドイツに拠点を移してヨーロッパ・サッカーシーンの取材を中心に活動。

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