「だから練習は絶対に休まない」 Jリーグ新記録を打ち立てた42歳鉄人GK南雄太、“ヤンチャ坊主”が“選手の鑑”へ変貌した理由
遠藤保仁、小野伸二、稲本潤一、山本英臣らに刺激「本当に長くやった人にしかない領域」
南はまだまだ成長を信じて歩んでいく。同世代が現役でプレーしていることも南の大きな励みだ。「ヤット(遠藤保仁/ジュビロ磐田)も含めて(小野)伸二(北海道コンサドーレ札幌)や稲本(潤一・南葛FC)もそうですし、同級生が頑張っている。同じ世代や長くやっている人が頑張っていたり、何か結果を残すと自分のことのように本当に嬉しい」。
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そして、長きにわたってプレーし、活躍を続ける選手たちにしか「分からない絆がある」と南。
「全然、面識はないが(ヴァンフォーレ)甲府の山本(英臣/41歳)くんが試合後に挨拶に来てくれて、『お互い頑張ろうね』って一言だけで分かり合えるというか。それは本当に長くやった人にしかない領域があって。そういう人たちにはすごく頑張ってほしいし、そういう人が増えて、そういう人が結果を出して、何かを残すことがすごく自分の刺激になる。サッカー界のためにも、あとからくる選手に良いお手本やいいものを残せたらというのがある」
偉大な先輩の生き様から後輩もしっかりと学んでいる。28歳とベテランに差しかかる矢島慎也は大宮へ入団後すぐに南のケアの仕方や練習に取り組む姿勢に感銘を受けた。それを見本にしながら、「サッカー中に『何をしたらいいか』みたいなものを先導していきたい。そういうところで引っ張っていけたらいい」と気持ちを新たにする。
南は今後も周りに好影響を与え続けるだろう。18歳から「元来、ポジティブな性格なのでそこだけは唯一変わってない」前向きさでピッチに立ち、「最後はなんとかなるんじゃないかといつも思っている。それがいい方向にいっているのかな」。それは不変で一生を懸けて成長し、出場記録もまだまだ伸びていくはず。
コツコツ、コツコツ――。1日1日の積み重ねが偉業を生んだ。
[プロフィール]
南雄太(みなみ・ゆうた)/1979年9月30日生まれ、神奈川県出身。武蔵ヶ丘FC―読売日本SC Jrユース―静岡学園高―柏―熊本―横浜FC―大宮。J1通算266試合、J2通算395試合出場。ルーキーイヤーから22試合に出場し、以降もコンスタントにプレー。的確なポジショニングやコーチング、相手との巧みな駆け引きに定評があり、安定したパフォーマンスが光る。
(松澤明美 / Akemi Matsuzawa)
松澤明美
まつざわ・あけみ/埼玉県出身。大学でスポーツ新聞部に所属し、その傍ら女子サッカー部を立ち上げた。卒業後は広告代理店、地元新聞社を経て、フリーランスに。新聞社では2010年途中から16年まで大宮アルディージャを担当した。現在はタグマ!にて『大宮花伝』(大宮応援メディア)を運営し、“旬”の情報を届けている。