J1序盤戦終了、今季の“優勝”争いはどうなる? 鹿島、川崎、横浜FMに“ダークホース”のチーム力分析
主力の大量流出から驚異の“立て直し”鳥栖 「すべてがうまくいったらJ1で優勝」
サガン鳥栖はオフに主力の大半が離脱し、精神的な支柱だったDFエドゥアルドも横浜FMに移籍。さらに金明輝前監督から川井健太監督に代わったことで、不安の声が多くあったことも事実だ。そして新型コロナウイルス禍で非公開練習だったために、地元の番記者すらも合宿の現場取材ができない状況で、公式の映像と川井監督の取材対応が情報源だった。
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その中で、川井監督が語っていたのは戦力的な不足は感じていないということ、しっかりと戦術的なタスクを与えて、全体的に戦術理解と鳥栖のサッカーをやり切るためのフィジカルのベースを引き上げることで、単なるレギュラー争いではなく試合や状況に応じた選手起用を実現していくというプランを明かしてくれた。
開幕前、川井監督に今シーズンの段階でチームがどこまで成長できるかの見通しを聞いたところ「全てがうまくいったらJ1で優勝できると思います」と回答した。そこの理想に向けて、うまくいっているところと課題があるはずだが、やはり12試合15得点という攻撃面の数字は上位争いに加わり続けるために、もっと増やす必要がある。
そこに関して川井監督は理論的な要素と感覚的な要素があると語る。前者は攻撃戦術のブラッシュアップで詰めていけるはずだが、後者は選手次第のところもある。鳥栖は外で結果を出しているFWや高額な外国人FWを獲ってこられる財政状況ではない中で、本来のエース格である垣田裕暉などの奮起にかかるところも大きい。
そのほか、ドイツ人のミヒャエル・スキッベ監督の下、明確な戦術設計で攻守に強度の高いサッカーを展開しているサンフレッチェ広島、新潟を率いていたアルベル・プッチ・オルトネダ監督の1年目で、まだ成長途上ながら接戦での強さを見せているFC東京などが上位をうかがっており、序盤戦で8引き分けの北海道コンサドーレ札幌も、タイの新たな至宝であるスパチョーク・サラチャットを獲得するなど、暑くなる夏場で攻勢をかけていく準備が整いつつある様に見える。
(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。