J1清水、ホーム未勝利も垣間見えた可能性 上位浮上を目指す“ワクワクするサッカー”への期待感
立田悠悟、松岡大起らが徐々に復調
ただ、「常に脅威を感じていたわけではない」とMF白崎凌兵が話したように近年のように物怖じして何もできなかったわけではなく、もちろん、連日30度前後の気温のマレーシアでの16日間で6試合のACLをこなし疲労が残る川崎ではあったが、それでも選手たちの戦う姿勢や小気味よいパス回しからの攻撃を見ることができたと感じている。これに選手たちが感じた「クオリティー」が高められれば、時間は少し必要ではあるが川崎に一歩でも近づくことができると思っている。
第12節が終わりシーズンの3分の1が経過した。清水は2勝6分4敗の勝ち点12で暫定13位。まだ順位を気にするほど上位とも下位とも勝ち点差は開いていないが、あと5試合で全チームとの1巡目の対戦が終了する。ここからの結果次第で上位争いに食い込めるのか、また残留争いに突入してしまうのかが見えくるが、そのなかでも清水はまずホームゲームでの今シーズン初勝利が待たれる。現在までホーム6試合で勝ちがないが,サポーターは怪我人などが復帰し、選手層が充実してきたなかで1試合でも早いホームでの勝利を望んでいる。次節のアウェー京都サンガF.C.戦を挟んで次のホームゲームは5月21日の第14節・名古屋グランパス戦。クラブのワースト記録は2021年シーズンのホーム8試合目での初勝利となるが、不名誉な記録に並ぶことは避けたい。
攻撃ではFWチアゴ・サンタナがこの試合でもポスト直撃の強烈なミドルシュートを放ち、3試合連続途中出場のFWオ・セフンも時間が短いなかでもコーナーキックからのヘディングシュートで見せ場は作った。
守備では前節に8試合ぶりに先発に復帰したDF立田悠悟がこの試合でも安定したプレーを見せ、後半から出場した松岡も本来の調子に戻りつつあり、戦力は揃い始めた。しかし、実際には清水よりも戦力が整っていると思われるチームでも下位に沈み、戦力ダウンと思われたチームが上位に躍進していることを考えれば、選手層だけで安易な判断はできないが、それでもワクワクするサッカーを見せてくれるという期待感は昨年よりも高まってきている。
(Sの極み・下舘浩久 / Hirohisa Shimodate)
下舘浩久
しもだて・ひろひさ/1964年、静岡市(旧清水市)生まれ。地元一般企業に就職、総務人事部門で勤務後、ウエブサイト「Sの極み」(清水エスパルス応援メディア)創設者の大場健司氏の急逝に伴い、2010年にフリーランスに転身。サイトを引き継ぎ、クラブに密着して選手の生の声を届けている。