「チームを助けてもらえる」 森保監督が絶大な信頼、冨安健洋のユーティリティー性に込めた期待
4ポジションをこなす23歳のマルチロール冨安健洋に森保監督も期待
日本代表を率いる森保一監督は11月に開催されるカタール・ワールドカップ(W杯)に臨む。5月9日、オンラインで取材対応した指揮官は、守備の要DF冨安健洋(アーセナル)について言及。改めて冨安の能力の高さを評価し、中心選手として期待した。冨安はクラブで右サイドバック(SB)や左SBも務めており、過去には日本代表でもボランチを経験。W杯の短期決戦で必要な“ユーティリティー性”を兼ね備えており、一層欠かせない人材となった。
「守備に関してはすべてのポジションを高いレベルでできる選手だと思っている」
森保監督は冨安のことをそう評価した。5月8日、アーセナルはプレミアリーグ第36節リーズ・ユナイテッド戦に臨み、2-1で勝利した。怪我から復帰後初となるフル出場を果たし、昨夏の加入後初となる左SBを務めた。この一戦では、アタッキングサード(AT)でのパス成功率が100パーセント(%)をマークするなど攻守に安定感が光るパフォーマンスを披露。相手の10番MFハフィーニャとのマッチアップで後手を踏まず、タイミングを図りながら積極的な攻め上がりも見せ、攻守に存在感を発揮した。
アーセナルでは昨夏の加入後に右SBとして起用され続けてきた。そのなかで、初めて左SBとして起用されるも、期待に応えた冨安。プレミアリーグで両SBとしてプレーできることを証明した。
昨季はイタリア1部ボローニャに所属し、セリエAでセンターバックと右SBで主に活躍。世界のトップリーグで存在を示してきた。
また、日本代表ではセンターバックが主ながら、過去にボランチ起用されたことがある。2019年、AFCアジアカップで1月9日にグループリーグ初戦のトルクメニスタン戦に臨んだ。直前の練習試合でもボランチ起用されていた冨安は、欠場したMF遠藤航の穴を埋める形で、同ポジションで出場。結果、チームは3-2で勝利し、特に守備面で貢献した。
森保監督にとっても、冨安が1度ボランチを経験したという事実は大きかった。
「代表レベルでもボランチもやってもらったし、センターバック、サイドバックもやってもらった。状況に合わせて起用ができると思うし、彼にはチームを助けてもらえる」
そう信頼を口にした指揮官。短期決戦では、複数ポジションをこなせる選手がいることは絶対条件となる。「チームを助けてもらえる」という一言は、本大会でもスタメンとして戦ってほしいという期待の表れ。本人にも覚悟を持つよう届けたメッセージでもある。
アーセナルでも輝きを放ち続ける23歳のディフェンスリーダー。ドイツ、スペインの猛攻を止める“日本の壁”として力を発揮してもらいたい。
(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)