日本代表入りも期待の21歳アペルカンプ真大が好調、デュッセルドルフで定位置確保 “来季こそ”の強い思い
いいプレーだけでなく、チームの勝利も追求「マックスの勝ち点を取るのが僕たちの仕事」
それにしても戦力的には悪くないながら、今季上位にいるシャルケ、ブレーメンといったクラブとは差をかなりつけられてしまった。その要因はどこにあったのだろう?
「最初の頃はブレーメンもシャルケも結構負けたりとかしていた。ただこのリーグだと5~6連勝したらすぐに上に行けるので、それができたクラブとできなかったクラブの差はあったと思う。アウェーであっても、下位に沈んでいるクラブからきっちりと勝ち点を取る。そういう積み重ねが大事で、それができないといけない」
“来季こそ”の思いは強い。来季はプロ3年目になる。中心選手としての自覚もどんどん芽生えてきている。いいプレーをする、いい試合をするだけではなく、どうすればチームがシーズンを通してコンスタントに勝ち点を積み重ねられるかと向き合っている。
残りの試合も全力で勝ちにいく。
「マックスの勝ち点を取るのが僕たちの仕事。できると思っているので。クラブとしても、順位が上がるほど収益も多くなる。それも含めて、みんなも個人としても、試合に勝つというところ。最後の試合に勝って、シーズンを終えるのが大事だと思う。いい形でシーズンを終えたら、夏休みいっぱい楽しめますからね」
そういうとアペルカンプは冗談っぽく笑った。「終わり良ければ総て良し」で終わりにするのではなく、終わりをよくすることで来季へといい形でつなげる土台を作り上げたい。そして今度こそ1部昇格を実現してみせる。
[プロフィール]
アペルカンプ真大(アペルカンプ・シンタ)/2000年11月1日生まれ、東京都出身。ドイツ人の父、日本人の母を持ち、ヴィトーリア目黒FCや三菱養和SC巣鴨ジュニアユースでプレー。15年にデュッセルドルフの下部組織に加入し、19年にプロ契約。21年にU-21ドイツ代表に選出された。将来、ドイツ代表か日本代表のどちらを選択するか注目される逸材。今季ドイツ2部リーグ戦25試合3ゴール1アシスト(32節終了時)。
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。