日本代表入りも期待の21歳アペルカンプ真大が好調、デュッセルドルフで定位置確保 “来季こそ”の強い思い
【ドイツ発コラム】主力起用されるアペルカンプ真大、攻撃にアクセントを加える存在に
ドイツ2部デュッセルドルフの21歳MFアペルカンプ真大が好調だ。
新監督ダニエル・ティヌーウ就任後、完全にレギュラーとして起用されている。ポジションは当初左サイドハーフを担当することが多かった一方、豊富な運動量でチームに貢献しているものの、当初はなかなかボールが回らずに攻撃で変化をつけるプレーが出せないことも少なくなかった。
現在のデュッセルドルフでは右サイドでプレーするカレド・ナレイが間違いなく生命線だ。今季ここまで8ゴール15アシストをマークしている。チームとして自然と攻撃は右サイド中心となる。
「左を通してのチャンスはあまり作れてなかったので、そこは残念。でも僕のいいところは左で起用されても、上手くハーフスペースに顔を出して、センター寄りでボールをもらってターンをしてチャンスメイクをするというところ」
試合を重ねるごとにチームとしての攻撃バリエーションも増えてきている。31節ドレスデン戦では攻撃時に何度もパスを引き出し、チャンスの起点となるプレーを見せていた。
「監督には、タッチラインでやる左サイドハーフではないと試合前から言われているし、それは僕にとってもいいこと。もっとボールをもらって、自分ができることをもっと見せていけたらいいなと思います」
この試合では先制ゴールをマーク。右サイドを突破してきたナレイからのパスをゴール前で受けて、冷静にゴールへと流し込んだ。試合後の記者会見でティウーヌ監督は「DFが2人ゴール前でブロックしようとしているところで、相手の届かないところへ丁寧にゴールを決めてくれた」と冷静な判断力を評価していた。
32節ハイデンハイム戦ではルーベン・ヘニングスと2トップ気味のトップ下でスタメンフル出場を果たしている。守備ラインの間でボールを受けたり、上手く最終ラインの裏に抜け出す動きで相手守備を揺さぶり、味方の攻撃に貴重なアクセントを加えている。
この試合を3-1で勝利したことで残留を確定することができた。それこそ一時期は3部降格の危険性もあったのだから、選手、コーチ陣、首脳陣、ファンもほっと一息といったところだろう。とはいえ、2部残留がこのクラブの目標なわけではない。デュセルドルフが1部昇格を狙ううえで大事なこととは何だろうか?
「1部昇格するためにはやっぱり前期からコンスタントに勝ち点3を取っていかないといけない。前期トップ5で折り返せたらいけると思う。フォルトゥナというクラブは1部へ行きたいクラブだし、そのためのプレーを見せられるチームだし、見せないといけないチーム。ここはメディアからの注目は大きいし、負けるとやっぱりすごく叩かれる。でもそれはみんな分かっていること。それを気にしすぎずに頑張っていきたいです」
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。