オシムの名言“9つの言葉” 「敗北は最良の教師」「古い井戸に水がある」…人生にも通じた名将語録
プロセスにも価値がある…オシム氏の教えで重要なキーワードの1つ
■名言6:「古い井戸に水があるのに、新しい井戸を掘るのはやめたほうがいい」
多くの若手選手を経験に関わらず抜擢したことで知られるオシム氏だが、ベテラン排除のようなことはしなかった。やはり物事には秩序もバランスも存在する。経験のあるものを無理やり排除するのではなく、経験ある選手が若手を導いていくようなチームの流れというのは、社会にも通じるものがある。
■名言7:「相手より5歩余計に走れば、その5歩がすでに勝利の5歩だ」
物事を少しでも良くするにはハードワークすることが大事で、それがたったの5歩であってもアドバンテージになっていくというのはオシム氏がよく伝えていたことだ。ただし、そこには考えや目的意識がセットでなければならない。そうしたことを伴って、一歩でも二歩でもハードワークした方が勝負では有利に働くということを示している。
■名言8:「奇跡といっても、自然に起きるわけではない」
努力が必ずしも勝利という結果に導かれるわけではない。むしろ、そうした結果で報われないことが多いというのは世の中の常だが、勝負やチャレンジにおける奇跡というのは努力の先にしか起きないというのはサッカーに限らず、多くの物事に言える。そして、そのプロセスにも価値があるというのはオシム氏の教えで重要なキーワードの1つだ。
■名言9:「サッカーの試合とは絶対に一人では成立しない」
これはサッカーの基本中の基本のようで、ふと忘れられてしまいがちなことであり、多くの社会でもあることだろう。試合があれば主役やヒーローが出てくるし、それがあるからサッカーは魅力的なわけだが、すべての試合において仲間がいて、対戦相手がいる。さまざまな名言を残してきたオシム氏だが、シンプルにして大事なこの言葉こそ胸に響くものである。
(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。