クルトワ、ヴィニシウス、ベンゼマが攻守の要として奮闘

　一方、レアルはバロンドールの有力候補に挙がるベンゼマの圧倒的な得点力と、FWヴィニシウス・ジュニオールの劇的な変化により着実に勝ち点を積み重ねていき、消化試合の差はあったものの、前半戦終了時には2位セビージャに勝ち点8差をつけた。そして後半戦に入り、3月のクラシコに0-4の惨敗を喫して悪いイメージは残したが、首位の座を明け渡すことなく、34試合で25勝6分3敗という素晴らしい成績で、21世紀最速となる4節を残して優勝を決めたのである。

　スペインの大手一般紙「エル・ムンド」のアブラアム・ロメロ記者に試合後、レアルのリーグ優勝の要因について分析してもらうと、次のような答えが返ってきた。

「特に（GKティボー・）クルトワ、ヴィニシウス、ベンゼマが際立っていた。今シーズンのレアル・マドリードでこの3人が最も重要な役割を果たしたと私は思っている」と攻守の要の名前を挙げた。

　続けて、「ゴールの壁となっているクルトワはサモラ賞（リーガ最少失点率GK賞）間近であり、ベンゼマのピチーチ賞（リーガ得点王）は確実だ。そして何よりヴィニシウスが昨シーズンと比べ、大きな違いを生み出す選手に成長した。彼の今シーズンの大爆発はドリブルやスピード、縦への突破力という、より多くのオプションをチームにもたらせた。マドリーは彼とともにはるかに良くなっているよ」と、若きブラジル代表FWの成長ぶりを特に高く評価した。

　ヴィニシウスの今シーズンの変化の理由については、「特にメンタル面によるものが大きいだろう。昨シーズンよりも落ち着いてプレーできるようになっており、特にゴールから近いところで冷静さを見せている。ここ数年に比べて的確な判断を下せるようになり、決定力が格段に上がっている。試合を重ねるごとに成長しているよ」と経験を積みプレーにポジティブな変化を見せていることを認めた。

　フィジカル面もヴィニシウスの変化に大きな影響を与えたかという問いに対しては、「いや、フィジカルはもともと非常に強かった。私はヴィニシウスの急激な変化はフィジカル以上にメンタルによるものだと思っている。彼のフィジカルは本当に強く、試合終盤になっても、休むことなく走り続けることができるからね。彼にとってはメンタル面の向上が本当に重要だったんだ」と今シーズンの成功につながった理由を述べていた。