アウェーは“捨て試合”? 久保建英所属のマジョルカ、1部残留へのリアルな“星勘定”
残りの試合では5バックが濃厚で、久保のフル出場は困難な状況か
逆に発言の前半、いいプレーをするという部分に関しては異論を挟む余地がある。これまでの戦い方から「守備的」「リアクションサッカー」といった意見が定着しつつあるからだ。
おそらくだが、これは何を根拠にいいプレーと捉えているかではないか。一般的に「いいプレー」とはボールやゲームを支配し、観客を楽しませ、さらに勝つことを意味する。しかし、現在のマジョルカ監督にとっては勝つこと、チームの1部残留という結果がすべて。それはポゼッションサッカーを掲げながらも、守備的な脆さから結果が出せず長い停滞を迎えた前監督の方針の逆を行くものであり、残された時間でできる最大限のことなのだろう。元日本代表監督は徹底した現実主義の下、課された目標に向かって脇目もふらず進んでいる。
ということで、今後の戦いでは改めて5バック体制を敷くことが予想される。日本代表MF久保建英にとっては先発フル出場が難しい状況には変わりがない。今節バルセロナ戦、36節セビージャ戦はある意味で捨て試合になる可能性があるため、物足りない内容になる気配すらある。それでも最も大事なグラナダ戦、さらに37節ラージョ戦でできるだけ多くの時間に起用されることが監督から信頼されているかどうかのバロメーターになるだろう。そこで結果を出しチームを助けることがシーズン全体の正否につながる。
(島田 徹 / Toru Shimada)
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島田 徹
1971年、山口市出身。地元紙記者を経て2001年渡西。04年からスペイン・マジョルカ在住。スポーツ紙通信員のほか、写真記者としてスペインリーグやスポーツ紙「マルカ」に写真提供、ウェブサイトの翻訳など、スペインサッカーに関わる仕事を行っている。