アウェーは“捨て試合”? 久保建英所属のマジョルカ、1部残留へのリアルな“星勘定”

マジョルカの日本代表MF久保建英【写真:Getty Images】
マジョルカの日本代表MF久保建英【写真:Getty Images】

【現地発コラム】マジョルカが1部残留を果たすためのキーポイントは?

 2021-22シーズンのリーガ・エスパニョーラもいよいよ大詰め、それぞれのチームが目標達成へ向けてラストスパートに入る。マジョルカはハビエル・アギーレ監督の下で悪い流れを断ち切り2部降格圏を脱出したが、予断を許さない状況は続いている。いずれにしろ、ギリギリの戦いになりそうな今後の戦い方を展望する。

 現状で考えられるのは、ホームでのグラナダ戦(第35節)とラージョ・バジェカーノ戦(第37節)をともに勝利すれば1部残留が限りなく現実味を帯びてくるということだ。現在、勝ち点32のマジョルカが6ポイントを追加すれば「38」になる。例年1部残留ラインは42あたりだが、昨季はエルチェが36、2季前にはセルタが37でトップカテゴリーにとどまっており、今季もおよそ同数が勝負を分けるラインになると考えられている。

 降格圏での争いは最下位のアラベス、レバンテは降格圏からの脱出が難しく、最後の1枠18位に落ちないようグラナダ、カディス、マジョルカが争う展開になりそう。それだけに、特にマジョルカとグラナダの一戦は両チームにとって勝てば目標達成、負ければ絶望的な状況に直結する戦いになる。

 なお、マジョルカは今節FCバルセロナ戦でコソボ代表FWムリキが累積警告で出場停止になる。前節アラベス戦で5枚目のイエローカードを引き出したという見方もあるほどで、真偽のほどはともかく、レギュラーFWが万全な形で大一番へ臨めるのは好材料になる。

 なお、ハビエル・アギーレ監督はマジョルカの地元紙「ディアリオ・デ・マジョルカ」とのインタビューで、「数字(勝ち点)の計算は機能しない。良いプレーをし、神経質にならないようにしなければ」と発言している。

 後者に関しては、新監督がもたらした最大の効果だろう。好々爺然とした受け答えでファンやメディアに対応、記者会見では質問するほぼすべての記者の名前を言い、個人的に話しかけるようなスタンスで距離感を縮めると同時に、チームに漂う緊張感を軽減する結果になっている。また、僅差で勝利した試合の終盤でも落ち着き払った動きを見せるなど、達観したイメージを与えている。

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島田 徹

1971年、山口市出身。地元紙記者を経て2001年渡西。04年からスペイン・マジョルカ在住。スポーツ紙通信員のほか、写真記者としてスペインリーグやスポーツ紙「マルカ」に写真提供、ウェブサイトの翻訳など、スペインサッカーに関わる仕事を行っている。

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