なぜ副審として走り続けるのか 八木あかねが追求する「無私」のメンタリティー

記憶に残る2014年エミレーツカップでの“痛恨のミスジャッジ”

 大会ラストゲームのアーセナル対モナコ戦、優勝がかかっていたアーセナルは1点ビハインドだった後半35分、スルーパスに抜け出したFWチュバ・アクポムがモナコGKダニエル・スバシッチに倒され、マーティン・アトキンソン主審がファウルを取ってPKが与えられた。そこで、第2副審を務めていた八木は、接触はペナルティーエリア外だったと進言。アトキンソン主審はこの意見を取り入れてフリーキック(FK)に判定を変えたが、実際はペナルティーエリア内での出来事だった。同点に追いつくチャンスが幻に消えたアーセナルは結局、0-1で敗れて2010年以来の大会制覇を逃した。

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「とんでもないミスジャッジでした。GKが(ペナルティーエリアの)外で接触したように見えたので、主審に対して『外で反則が起きていたと思う』と言いました。そしたら『分かった』と受け入れてくれて、PKをFKに変えたんですが、実際には3メートルくらい(ペナルティーエリアの)中での反則でした。主審はGKの手のトリッピング(足や体を使い相手を倒したり、つまずかせたりする反則)を吹いているのに、僕は(ペナルティーエリアの外にあった)GKの足のトリッピングで、しかもノーファウルだと思っている。主審が何を見ていて何をファウルにして、自分が何を見て何をファウルじゃないと言っていたのかがズレていたんです。

 ファウルかノーファウルかに口出しはできないけど、中外は絶対に言わないとダメだと思って、しっかりと把握していないまま行動してしまいました。自分は正しいジャッジをしていると思っているから、ヒーローのつもりでしたが、これは勇気とは違う。そういう失敗をしたことがそれまでなくて、試合結果に大きな影響を及ぼすジャッジ。ものすごくショックで一晩処理しきれなかったし、今でも思い出します。できるなら絶対にやり直したいです」

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