なぜ副審として走り続けるのか 八木あかねが追求する「無私」のメンタリティー
副審ならではのやりがいは「正解か不正解か」の答えが出るジャッジへの責任
2001年からはJリーグ担当副審、翌02年からはフットサル1級審判員としても活動。高校卒業後の約2年間、サッカーから距離を置いた“ブランク期間”が「フィールドに戻れる」「選手と一緒に試合ができる」と、審判員としての生きがいを一層感じさせてくれた。
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「若い頃は、(主審として)Jリーグで笛を吹きたいという思いがありました。本当はサッカーで主審をやりたかったし、ワールドカップの主審を務めたかった。それが叶わないなかでも、フットサルで評価してもらえて(06年に)国際審判になれて、(サッカーでも)国際副審のキャリアも打診されました。長いスパンで見ると、気持ちが沈んだり、悩んだりはありません。審判をしていると常に楽しくて、楽しいからこそ続けられる。副審としては主審をサポートしながら一緒にゲームを完成させたい、前の試合よりもうまくやりたいという思いでやっています」
Jリーグにおいては20年以上、副審一筋でゲームに携わってきた八木。「主審」と「副審」の違いについては、「客観的なモノサシ」が求められると見解を述べる。
「副審ならではのやりがいは、ほぼすべてのジャッジが正解か不正解か答えが出るところです。すごく責任を感じますね。誰も気づかないような、ゲームの大勢に影響がないようなオフサイドのジャッジであっても、のちにビデオで振り返って自分が間違えていたりすると、得点につながったオフサイドを間違えたのと同じくらい衝撃があって、1つ1つのジャッジが重い。“答え合わせ”がしやすい分、証拠のビデオがあるものに関しては自分のミスが明確なのが主審との違いで、面白味でもあると思っています。常に客観的なモノサシで測られるプレッシャーと戦っています」
“気持ちの浮き沈み”は少ないと話す八木だが、一番ショックを受けたミスジャッジがあるという。それが日本以外での国際経験を積むために2008年から実施されている「審判交流プログラム」で、14年にイングランドのプレシーズンマッチ「エミレーツカップ」に派遣された時の出来事だ。