「Jリーグに濃い選手が少なくなってた」 闘莉王はなぜ熱かったのか、“闘将スタイル”を貫いた舞台裏

闘将が感じた熱かった時代のJリーグとは

 闘莉王氏にとって、“中身の濃い時期”と称する浦和と名古屋時代。まさに闘将を地でいくようなスタイルをピッチで見せてくれていたが、なぜ当時、あんなに熱かったのだろうか。

「自分がJリーガーになる前のJリーグを考えてみると、ラモス(瑠偉)さん、北澤(豪)さん、カズさん(三浦知良)、レオナルド、ビスマルクなど、とても味のある、本当に見ていて楽しい人たちばかりだった。でも、あの時代から少しずつレベルが下がっていって、僕たちの時代もそうだったわけです。なんかこう、Jリーグに濃い選手が少なくなっていった。それで自分たちでなんとかして盛り上げなきゃいけない、Jリーグを盛り上げるためにはやっぱりレッズを優勝させるのが一番だと思ったわけです。だって、レッズのサポーターが一番熱かったから。だからレッズが優勝することが日本のサッカー界が盛り上がって、Jリーグが発展していくことにつながるんじゃないかなと。実際にそれを達成できたこと、そして優勝してみると、本当に期待どおりにJリーグが盛り上がったと感じています」

 もっとも、選手自身のキャラクターもJリーグ創成期に負けず劣らず濃かったようだ。闘莉王氏は「グラウンドのなかだけじゃなく、グラウンドの外でも少しインパクトを残すキャラクターがいっぱいいた」とこんなこぼれ話をしてくれた。

「チーム内でもたくさん喧嘩したぐらい、キャラクターが濃かった(笑)。ロッカールームに入るのがすごく楽しくて。とぼけた人がいたり、気合が入りすぎて熱くなりすぎてロッカーに頭突きするぐらいのキャラクターがいたり、試合が始まってるのにボーっとしている人がいたり。みんな全く違うキャラクターかもしれないですけど、だからこそ付いてきてくれるサポーターがたくさんいたし、そういう人たちが好かれる時代だったんだろうなと思います。それがすごく楽しかった」

 確かに、人間的な強い個性を持つ選手は今のJリーグではあまり多くないかもしれない。闘莉王氏は「それが寂しい」と悲しむ。「今の時代、戦術やポジショニングというのがあまりにも前面に出すぎていて、ちょっとロボットのようなサッカーになりつつあって、それが選手の個性を潰してしまっているような感じがする」と指摘する。

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