J1残留へ残り11戦で「勝ち点21」 ワースト記録を更新する名古屋の小倉監督が掲げた悲壮な覚悟

勝ち点40達成には現状を上回るペースが…

 元日本代表MF田口泰士や、今夏にC大阪から加入したMF扇原貴宏ら主力に故障者が続出している苦しい台所事情では、スコアレスドローでも満足しなければならない。指揮官は記者会見場で、終始険しい表情を浮かべていた。

「攻撃のところではやはり精度の部分であったり、走力の部分でなかなか後半チャンスを作るのは少なくなってしまいましたが、そういったところも想定しながら少ないチャンスを生かせれば良かった。勝ち点1、良しとしなければならない状態かなと思います」

 会見の最後で、小倉監督は今季の目標について「今日は勝ち点1プラスしたので、セーフティと言われている(勝点)40を考えると、あと勝ち点21はなるべく早く欲しい」と口にした。

 今季残り試合は11。目標達成のためには、現時点での名古屋の年間勝ち点「19」を上回るペースでのポイント獲得が必要となる。湘南ベルマーレが川崎フロンターレに2-3で敗れ、年間順位は16位に浮上したが、いまだ降格圏をさまよう名古屋にとっては高過ぎる目標に感じるが、指揮官は横浜FM、鹿島アントラーズとともにJリーグ“オリジナル10”の中で一度もJ2降格経験のない伝統を守るために、イバラの道を突き進む覚悟を決めたようだ。

 果たして守備重視のシステム変更は、どん底に沈む名古屋にとって光明となるのだろうか。次節もアウェーで、昨季王者の広島との一戦が待っている。小倉グランパスの今後を占う上で、真価が問われるゲームとなりそうだ。

【了】

石川 遼●文 text by Ryo Ishikawa

 

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