清水の韓国人ストライカーが“頼もしい” 決定力、ポストプレーで魅了…「最強助っ人」になる日も遠くない
チーム全体に生まれた“オ・セフン効果”
チームに慣れて来れば、「尊敬している偉大な先輩」と話す元清水のチョ・ジェジン(2004年~2007年所属)やアン・ジョンファン(2002年~2003年所属)を上回る最強助っ人になる日も遠くないかもしれない。
「清水のサポーターも偉大な選手のその記憶は色褪せていないが、これからの時代のエスパルスの韓国人選手は『オ・セフンだ』と思ってもらえるように、その記憶を塗り替えられるような活躍をしたい」と頼もしい意気込みも語っていた。
そして、平岡宏章監督が後日に話したように「深みが取れた」とチーム全体に“オ・セフン効果”が見られる試合にもなった。
縦関係の2トップでコンビを組んだ鈴木唯は、今まではあまり見られなかった自陣まで落ちてボールを受けリズムを作り出す仕事もこなし、また得意のドリブルでゴールに迫るプレーもあり、変幻自在な動きを見せた。
鈴木唯がボールを持てば複数人での厳しいマークを受け、自由を与えられない場面が目立ったが、今後はオ・セフンとのマークが分散されることでそのチャンスは増えると思っている。
また、前線に明確なターゲットが入ったことで両サイドバックのDF山原怜音とDF原輝綺のクロスが生きてくる。
山原はその攻撃的なセンスを買われ、サイドハーフで起用されることが多かったが、ビルドアップの起点となれる選手でもあり、サイドバックで本来持っている特徴が発揮され、この試合でも彼が後ろから組み立てチャンスを作り出していた。
もちろん、そのキックにも定評があるので、逆サイドの原同様、アーリークロスからオ・セフンのヘディングシュートやその落としたボールを2列目、3列目の選手が決めるシーンがこれから期待される。
試合は良い内容で久々の、そして今季ホーム初勝利かと思われた後半アディショナルタイムにパワープレーで前線にボールを入れるG大阪の攻撃に耐えきれず、MF小野瀬康介にFKのこぼれ球を決められて1-1の引き分けとなってしまった。
1点を守り切れずに悔しい勝ち点1となったが、それでも内容は誰もが認める今シーズン一番の出来であり、平岡監督も「選手たちも手応えを感じている」と一定の評価をしている。
後半28分にはチアゴ・サンタナも今季初出場を果たした。カルリーニョス・ジュニオ、そして、MFヘナト・アウグストもすでに全体練習に合流していることは朗報である。
オ・セフンの加入で外国籍選手が7人と大所帯となったが、ポジション争いに加えて外国籍選手の出場枠5人の争いも激化していくことはチームにプラスに働く。
近年の清水はブラジルフィーバーでブラジル人選手の活躍が目立ったが、そこへスイス生まれのコソボ代表歴のあるベンジャミン・コロリ、そして“韓流ブーム再び”の兆しを見せるオ・セフンが加入し、いまだ調子に乗り切れない16位チームを上昇気流に導いてくれるだろう。
下舘浩久
しもだて・ひろひさ/1964年、静岡市(旧清水市)生まれ。地元一般企業に就職、総務人事部門で勤務後、ウエブサイト「Sの極み」(清水エスパルス応援メディア)創設者の大場健司氏の急逝に伴い、2010年にフリーランスに転身。サイトを引き継ぎ、クラブに密着して選手の生の声を届けている。