清水の韓国人ストライカーが“頼もしい” 決定力、ポストプレーで魅了…「最強助っ人」になる日も遠くない
【J番記者コラム】FWオ ・セフン、移籍後初スタメンとなったG大阪戦で初ゴール
清水エスパルスの7人目の外国籍選手として加入したFWオ ・セフンが、J1リーグ第8節のガンバ大阪戦で先発出場し、そのベールを脱いだ。
クラブから獲得が発表されたのが2月24日。翌月の初旬に来日したが、新型コロナ禍のためチーム練習に部分合流したのは3月23日だった。
昨年のチーム内の得点王FWチアゴ・サンタナや実績のあるFWカルリーニョス・ジュニオなどの攻撃陣に怪我人が続出するなか、1日も早い完全合流が待たれていた。
そこから1週間別メニューが続いたが同29日に完全合流し、4月6日の浦和レッズ戦(1-1)の後半30分からJデビューを果たした。15分間だけのプレーだったがその片鱗が見られ、活躍に期待が膨らんでいた。
怪我人が多いなかで、さらにここまでチームを牽引していたMF白崎凌兵とMFベンジャミン・コロリも怪我のために離脱したため、オ・セフンに懸かる期待はより大きなものとなった。
193センチの長身を生かしたポストプレーでの競り合いでは、G大阪の元日本代表コンビDF昌子源とDF三浦弦太に決して負けている印象は受けなかった。また、味方からのロングボールに対しても確実にその落下地点に入りその空間認知能力も長けていた。
なにより、目の肥えている清水サポーターがオ・セフンの一挙手、一投足に注目し、そのプレーにどよめきと拍手が起きていたのは「IAIスタジアム日本平」では久しぶりの光景だった。
そしてこの試合の後半12分、MF鈴木唯人のクロスにファーサイドで高い打点のヘディングシュートを放ち、一度はGK一森純に止められるものの、素早い反応から左足で押し込み、初先発・初ゴールを決めて見せた。
「このゴールは自分だけのゴールではなく、チーム全体のゴール。ひとえにチームおかげ」と初ゴールに対しても驕ることなく謙虚に語っていた。このスタンスは加入会見でも見られた。
ストライカーということでここからのゴール数の目標を尋ねられたが「まずはチームを勝たせること。そのあとに自分の得点がついて来る」と、あくまでもフォア・ザ・チームを強調している。
日本に来てサッカー以外でやってみたいことや行きたい場所などはあるかという定番質問には「自分は清水エスパルスにサッカーをやりに来た。それ以外、今は考えていない。それだけに集中したい」と真面目な性格も披露していた。
下舘浩久
しもだて・ひろひさ/1964年、静岡市(旧清水市)生まれ。地元一般企業に就職、総務人事部門で勤務後、ウエブサイト「Sの極み」(清水エスパルス応援メディア)創設者の大場健司氏の急逝に伴い、2010年にフリーランスに転身。サイトを引き継ぎ、クラブに密着して選手の生の声を届けている。