26歳で二度“引退した”元浦和Lの万能MF 単身海を渡りスペインリーグに挑戦する理由とは
元U-20日本女子代表の堂園彩乃 スペイン1部グラナディーラ・エガテサに加入
26歳にして二度の引退を経験しながら、サッカー選手としての第三章の扉を開くために単身スペインへと旅立つ――。そんな一風変わったキャリアを歩む女子サッカー選手がいる。浦和レッズレディースや、U-20日本女子代表で活躍した堂園彩乃は、9月に開幕するスペイン女子1部リーグのグラナディーラ・エガテサに加入し、海を渡ることが決まった。
鹿児島県出身の堂園は、地元の公立中学校を卒業するまで男子と同じチームでプレーしてきた。そのプレーが目に留まり、高校は女子サッカーの名門である神村学園に進学し、2008年に浦和に加入した。これが、1回目の女子サッカー選手としてのスタートだ。
加入初年度に左膝前十字靭帯の重傷を負い1年ほど戦列を離れるアクシデントがあったものの、10年にはU-20女子ワールドカップメンバーに選出され、ゲームにも出場している。浦和では頭脳的なプレーでチームを支え、09年と14年にはなでしこリーグ制覇を成し遂げている。
「レッズに入って最初の頃は、なでしこジャパンも目指していましたし、『もっとうまくなりたい!』って思っていたんですよ」
キャリアのスタートの時期をそう振り返った堂園に心境の変化が訪れたのは、11年、12年頃のこと。ちょうど、なでしこジャパンがドイツ女子ワールドカップで優勝し、日本中に「なでしこフィーバー」が巻き起こった頃だ。「サッカーはうまくなりたいけど、自分の気持ちはなでしこジャパンよりもレッズで試合に出たい、優勝したいっていう思いのほうが強かったんです」という堂園だったが、チーム状況は大きく変化してしまった。
柳田美幸や矢野喬子といったなでしこジャパンを経験したメンバーが引退し、U-20女子ワールドカップをともに戦った熊谷紗希の海外移籍などで、浦和はこの時期に大きくメンバーが入れ替わった。チームが若返ったことで、堂園は一気に古参メンバーといった色が濃くなり、責任も重くなった。経験の不足したチームは13年に残留争いにも巻き込まれた。まだ20代前半で、サッカーをプレーする意味に思い悩んでいた一人の選手にとって、その時間は辛いものだったのだろう。