マジョルカ久保建英を取り巻く状況悪化…今後の出場は? “結果重視”のアギーレ新体制を分析
【現地発コラム】面白味に欠けるチームに…避けられない選択だったのではないか
ハビエル・アギーレ新監督になってから、日本代表MF久保建英が所属するスペイン1部マジョルカが最初の試合を終えた。ヘタフェとのアウェー戦に0-1で敗れたが、このなかで見えてきた新体制での戦い方や方針、選手起用の見通しを分析する。
一番の違いは5バックの採用になる。今回はDFアントニオ・ライージョが出場停止、DFアレクサンダル・セドラルが負傷、DFマルティン・ヴァルイェントも体調不良で本来のセンターバック(CB)3人が欠場、本職としてはDFフランコ・ルッソだけがこの位置に入ったが、左サイドバック(SB)のDFブライアン・オリバンと守備的MFイドリス・ババをコンバートして3CB体制を構成した。
SBも本来は右のパブロ・マフェオを左に回し、最終ラインはツギハギだらけにならざるを得なかった。戦力の取り戻しが期待できる次節以降から効果のほどがどう出てくるかというところだろう。
また戦い方自体も変わっている。中盤はあくまで前線と最後尾それぞれへのサポートで、試合の主導権を握るという意識はない。横パスはほぼなく、縦へ蹴って前線でキープできればそこから仕掛ける、ダメならまた改めて守るというもの。前監督下での可能な限りのゲームコントロールし、その時間帯を増やしていくというスタイルから大きく転換している。
純粋にサッカーを楽しみたい、というファンにとっては面白味に欠けるチームに変わったと言える。一方でこれまでの経緯を経ての結果重視、まずは失点をなくすという点で避けられない選択だったのではないか。
チームは何が何でも勝ち点がほしいという状況にある。つまりカテゴリーを落とすぐらいなら魅力に欠けるサッカーをした方がマシという考え方だ。新体制初陣のあと、パスをつなぐつもりがないと記者会見で指摘されたアギーレ監督は「我々は49失点し、(前節までに)6連敗している。もし200本パスを通して価値が約束されるのなら、500本やるようにする」と突き返した。これは「そんなこと言ってる場合じゃないぞ」という、新指揮官からファンや選手らすべてに対するメッセージということだろう。
島田 徹
1971年、山口市出身。地元紙記者を経て2001年渡西。04年からスペイン・マジョルカ在住。スポーツ紙通信員のほか、写真記者としてスペインリーグやスポーツ紙「マルカ」に写真提供、ウェブサイトの翻訳など、スペインサッカーに関わる仕事を行っている。