W杯グループE「対戦国分析」 4度優勝のドイツ、豪華タレント揃いで“不安なし”…日本の“御の字”プランは?
森保ジャパンの得策プランは? 中盤で圧倒されない“ベース作り”は不可欠
■【日本×ドイツの対戦シミュレーション】
ドイツに対して勝ち点3を取ることはかなり難しいが、勝ち点1ならば十分に計算できる。ただ、日本は勝ち点1を最初から狙って取れる文化はないので、あくまで勝ち点3を目指した先で勝ち点1が取れたら御の字というプランで良い。
確実に言えるのは中盤の強度で圧倒されると、ほぼ終わってしまうということ。日本が最終予選の後半に使ってきた4-3-3はドイツの4-2-3-1との相性は悪くない。MF遠藤航(シュツットガルト)、MF田中碧(デュッセルドルフ)、MF守田英正(サンタ・クララ)の“3ボランチ”的な中盤のセットは悪くないが、攻撃面で脅威を与える意味でもブンデスリーガの環境で奮闘するMF原口元気(ウニオン・ベルリン)やMF鎌田大地(フランクフルト)といったメンバーをここで活用しない手はない。
ドイツを相手にボールを動かして崩し切るということはかなり難しいが、ボール保持率が40パーセントを切ってしまうと、日本がショートカウンターを繰り出す余地もなくなってしまう。その意味でも中盤で圧倒されないベースは作る必要がある。そこで勝ち点1のベースをまずは作るべきだ。6月と9月はネーションズリーグがある関係で、欧州のチームとマッチメークはできないが、遠藤、原口、鎌田の組み合わせをテストしてもらいたい。
このセットをベースに、MF奥川雅也(ビーレフェルト)もオプションに組み込めればドイツには脅威になる。サイドバックはサネやニャブリを止めるという意味で、右はDF酒井宏樹(浦和レッズ)が万全ならいいが、左が1つポインントになる。サイドアタッカーを徹底マークすることにかけてはDF室屋成(ハノーファー)が適している。DF中山雄太(ズウォレ)も対人能力はあるが、ニャブリと走り合いになるシチュエーションを考えれば室屋の特長を発揮しやすい。
前線の3枚は守備でハードワークしながら、大型のディフェンスに対して潜り込んでいけるメンバーを選択したい。そして勝ち点3の鍵はセットプレーにある。本番仕様のデザインは今後の親善試合でも使う必要はなく、メディアに見せる必要もない。しかし、合宿の度にしっかりと仕込んで、ドイツとの初戦にぶつけていく。そのためにもキッカーは生命線だ。
現在の日本でCK、FKのスペシャリストはMF久保建英(マジョルカ)ぐらいだが、鎌田や田中も能力はある。CKや間接的なFKに関してはスタメンの組み合わせを想定しながら仕込んでいく必要もあるため、そこの基準も踏まえてベースになるキッカーを考えていく必要がありそうだ。
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。