日本、W杯初戦でドイツに勝てば風向きも変わる 過去初戦黒星で100%敗退、白星で100%通過

南アフリカ大会、印象的だったのが日本選手のフィジカルの強さだ

<2006年ドイツ大会|日本、オーストラリア、クロアチア、ブラジル>
 構図としてはブラジルとクロアチアの2強と2弱、またはブラジルの1強3弱。結果は1分2敗。クロアチア戦はやや劣勢だったが勝つチャンスもあり、98年と少し似ていたがこの時はドロー。しかし、なんといっても初戦のオーストラリア戦の終盤に3点取られての逆転負けが響いた。出だしでつまづいたのは致命的。最後がブラジルではどうにもならなかった。初戦では何も決まらないのだが、最初に負けるとメンタル的にまずリカバリーが効かないのがワールドカップでの日本のありようである。

<2010年南アフリカ大会|日本、カメルーン、オランダ、デンマーク>
 ほぼ3強1弱の下馬評だったが、2勝1敗で1弱の日本は2位通過。やはり初戦のカメルーン戦に勝ったのが大きい。そして、プレーぶりは02年と似たまず守備ありき。印象的だったのが日本選手のフィジカルの強さだ。4年前に「フィジカルが弱い」とジーコ監督が敗因を述べた時は、今さらそれを言うかと思ったものだが、誰もがフィジカル面の劣勢は認めていた。ところがこの大会では走力もコンタクトも全然負けていなかった。たった4年で激変したわけではなく、我々の見方が何か間違っていたのかもしれないと思わされた。

 始まってみればオランダの1強だったのだが、オランダ戦も0-1。力の差はあったとしても結果は分からない。接戦に持ち込めばチャンスはあるのがワールドカップである。

<2014年ブラジル大会|日本、コートジボワール、ギリシャ、コロンビア>
 06年と同じく日本は個々の能力が高く期待されたが、やはり初戦で逆転負けして2戦目がドロー、3戦目で大敗。攻撃的な編成も含めて、8年前をなぞるような結果だった。グループ的には4チームが均衡しているはずだったが、やはり初戦は重要。

西部謙司

にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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