日本、W杯初戦でドイツに勝てば風向きも変わる 過去初戦黒星で100%敗退、白星で100%通過

スペインとドイツと同じE組に入った日本【写真:(C) JFA 】
スペインとドイツと同じE組に入った日本【写真:(C) JFA 】

【識者コラム】W杯でベスト16入りする時の日本の傾向とは?

 カタール・ワールドカップ(W杯)のグループリーグ組分けが発表され、日本はスペイン、ドイツ、コスタリカまたはニュージーランドと同居するグループとなった。7大会目にして最悪のグループと言っていい。

 今回のドローはポット2にドイツが入ったのが焦点だった。ドイツのいるグループは実質的にポット1が2チームいるのと同じになる。それがよりによって日本と同じグループとは……。ただ、ドイツは2018年のロシア大会ではグループ最下位だった。スペインはブラジル大会でグループリーグ敗退。日本代表はベスト8を目指しているのだから、ラウンド16でこのレベルの相手と当たる可能性は十分あるわけで、それが少し早くなった思えばいい。

 今回は、過去の日本代表がどんなグループを戦ってきたのか振り返ってみたい。

<1998年フランス大会|日本、アルゼンチン、クロアチア、ジャマイカ>
 初参戦のワールドカップは3戦全敗だった。メディア的な大会前の願望は1勝1分1敗でのグループ突破。ジャマイカには勝利しかない。アルゼンチンには負けるだろうが、クロアチアに引き分ければチャンスはあるという願望×3であった。初めて出るので世界との距離感がよく分かっていなかったのだ。

 結果は全敗だったが、日本はかなり健闘したと思う。少なくとも気後れするような様子は微塵もなかった。クロアチア戦はむしろ優勢、ジャマイカ戦も最初は圧倒していて負けたのが不思議なぐらいだった。
 
 ただ、簡単に言えば日本は意欲的だったがやや空回りしていた印象はある。ちなみにこの大会のクロアチアは初参加だったが3位になっていて、振り返ってみると典型的な2強2弱の構図。カタール大会と同じである。

<2002年日韓大会|日本、ベルギー、ロシア、チュニジア>
 チュニジア以外の三つ巴。結果は2勝1分の日本が首位通過している。開催国の日本はシードされていたので、ポット1相当の強豪が入っていない。

 試合内容は4年前とはかなり異なっている。初戦のベルギー戦(2-2)は非常にフィジカルなゲームで、平たく言えば蹴り合い。観戦したフランツ・ベッケンバウアーは「肉でも魚でもない」と評した。日本は相手にプレーさせないサッカーを志向していて、相手のベルギーもそのタイプだったので、どちらもこれといった特徴がなく見えたのだろう。見応えという点では4年前のほうがあったが、結果は雲泥の差である。そして、これはワールドカップでベスト16入りする時の日本の傾向とも言えるかもしれない。

西部謙司

にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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