- HOME
- 今日のピックアップ記事
- 日本とW杯初戦激突のドイツ代表が優勝へ“本気モード” 初の専門コーチ登用で強化…「あらゆるトリック」を準備
日本とW杯初戦激突のドイツ代表が優勝へ“本気モード” 初の専門コーチ登用で強化…「あらゆるトリック」を準備
ドイツ代表では初のセットプレー専門コーチ、選手たちの反応もポジティブ
セットプレーの質向上のために、フリックがコーチングスタッフに招集したのが、デンマーク人エクスパートのマッズ・ブットゲライトだ。
ドイツ代表では初めてとなるセットプレーコーチ。「ビルト」紙のドイツ代表番ハイコ・ニッデラー記者は「ブットゲライトは欧州選手権でデンマーク代表に帯同していた。セットプレーからスペクタクルなバリエーションを見せてくれている。非公開練習のなかであらゆるトリックをトレーニングしているようだ」と高い評価を口にしていた。
ブットゲライトはハイテクに精通し、ほかのスポーツもよく研究しているという。ゴルフが好きで、トラックマンシステムというテクニックを使っている。スパイクのどの面にボールがどのように当たることでボールにどのようなスピンがかかり、どのようなスピードで飛ぶのか、を正確に測っているという。
ブットゲライトは「ここにいる選手はみんなトッププレーヤーだ。さらにレベルアップしていくために最後のパーセントを探している。いくつか期待することもできるが、最初からすべて上手くいったりはしないよ」と謙虚に話していたが、すでに効果は攻守両面でどんどん出てきている。選手からの反応もとてもポジティブだという。
「彼を獲得するアイデアを持っていた。ずっと前から彼のことをチェックしていたんだ。これからも上手くやっていけるといいし、コーチングスタッフとして一緒にやっていけることを祈っている。その手腕はすでに見てとれる。いい刺激を与えてくれている。監督だけではなく、選手に必要な情報をもたらせる専門家が近くにいるのはいいことだ」
そう語るフリックはブットゲライトに全幅の信頼を寄せている。細部に至るまで徹底的に準備を進めているドイツ。日本が初戦で対戦する相手はすでに本気モードだ。
(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。