改革が進む欧州女子サッカーの“青写真” スペインの一戦で8万5000枚チケット完売…着実に向上するステータス
バイエルン女子監督も歓喜「彼女らがこれまでしてきた戦果と功績にふさわしい」
バイエルン女子のショイアー監督も「1万3000人も集まってくれて、嬉しい。素晴らしいことだ。彼女らがこれまでしてきた戦果と功績にふさわしい。今日は観客がプッシュしてくれた」とスタジアムの雰囲気について喜んでいた。
それだけに「アリアンツ・アレーナで試合が開催される」というのが記念事業などではなく、今後も定期的に試合会場として準備されることが望まれているのだ。「チームは今日素晴らしいゲームをしてくれたと思う。今日だけのことではなく、これからもCLでプレーできるようになることを祈っている。女子サッカーにとって大事なことだ」(ショイアー監督)。欧州女子サッカーでは戦術的な要素も、技術的な要素も、フィジカル的な要素もレベルはここ最近間違いなく上がってきている。
エンタテインメント性だって、バイエルン対PSG戦では2点差から1点を返し、さらに同点ゴールを目指すバイエルンの猛攻にスタジアムは最高の雰囲気になっていた。みんなの声がチームの背中をぐっと押していく。そんな劇場効果がサッカーファンに「面白かったね。また見に来たいね!」と思えるだけの影響を及ぼしてくれるのではないだろうか。今後さらに環境や仕組みが改善され、誰もが納得の「特別なリーグ」となってほしいと切に願う。
(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。