闘莉王が振り返るW杯最終予選の激闘、南ア大会を“物語る”一戦に感慨 「あの時代の代表を表す試合」

岡田体制時代の日本代表でも、鉄壁の守備でチームを支えた【写真:Getty Images】
岡田体制時代の日本代表でも、鉄壁の守備でチームを支えた【写真:Getty Images】

W杯出場を決めたウズベキスタン戦は「あの時代の、あの代表を表すような試合」

 2007年6月6日、中東独特の空気が満員のスタンドを包み込む、アウェーでのウズベキスタン戦。開始9分に、中村憲剛の縦パスに反応した岡崎慎司が、自らが放ったシュートの跳ね返りを頭で押し込んだ。早い時間帯に1点をもぎ取った日本だったが、ホーム寄りの笛が吹かれる完全アウェーのなか、後半は逆に防戦一方の展開になった。

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「岡崎のゴールのあとは、ずっと押し込まれて押し込まれて、試合は自分とナラさん(楢﨑正剛氏)と(中澤)佑二さんで逆三角形みたいになったりしていたんですけど、『うわあ、やられた』と思ったらナラさんの手が伸びてたり、スーパーセーブに救われたり。『大変だな』ってなった時は佑二さんのカバーリングに助けられた。予期せぬ監督の交代劇があったり、戦い方が変わったり、いろいろなトラブルがあって大変だったし、苦しかったからこそ、泥臭く取ってくれた岡崎のゴールを、どうしてもみんなで守り切らなきゃいけないって。そう考えたら、なんかこう身体の重みがなくなった」

 死闘を演じ、守り抜いた末に勝ち取ったW杯の切符。闘莉王氏は当時のうれしさを昨日のことのように振り返った。

「よくやったなと、よくここまで来れたよなと、本当にうれしかった。その分、やっぱり辛かったんだなと。あれだけ叩かれて、あれだけ周囲に言われて、すごく苦しかったからこそ、すごくうれしかった。自分自身、2006年W杯にどうしても行きたかったっていうのもあって、自分の目標とする場所にやっと一歩を踏み入れることができるんだと。そんなことを考えながらW杯行きの切符を手にしたのをよく覚えています」

そして、「あれこそが、本当にあの時代の、あの代表を表すような試合だった」と加えた。

「あの試合を振り返った時に、俺らの戦い方というのはやっぱりああいう戦い方だったんだなと思いますね。1点をどうやっても守り切る、そして本当に守ることができる代表だった。2010年の南アフリカでのW杯を物語るような戦い方を予選からずっとしていたわけで、そう考えると、予選の試合はW杯本大会に向けての大事な練習だったような気がします」

 オシムジャパンでスタートした日本代表は、予期せぬ監督交代劇で岡田ジャパンとして南アフリカへと乗り込んだ。直前の2試合を連敗して迎えたW杯本大会だったが、蓋を開けてみれば、2勝1敗でグループステージを突破。パラグアイとの決勝トーナメント1回戦でPK戦の末に涙を呑んだが、2002年の母国開催以来となるベスト16に日本中が沸いた。

 サッカーには日本を元気にする力がある。

「世の中が今、ちょっと良くない状況にある。それでもサッカーがある。ボールを蹴った瞬間の喜び、ゴールが入った時の自然とワーッと盛り上がる気持ち。今はまだコロナ禍で難しいけど、歓喜を抑えられないほどの感動や喜びに繋がるようなサッカーを見せてほしいですね」

コロナ禍の今こそ、サッカーの力は必要だ。7大会連続のW杯出場を決めた選手たちが、最終予選最後の一戦に挑む。

■放送予定
【AFC アジア予選 -Road to Qatar- 第10戦】
3月29日(火)日本 vs ベトナム/日本時間19:35キックオフ(テレビ朝日系列、DAZN)

(FOOTBALL ZONE編集部)



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