マジョルカ久保、レギュラー剥奪も 元日本代表監督アギーレ氏の招聘から読み解く“再建策”

トレーニングを視察するアギーレ新監督(写真左)【写真提供:マジョルカ】
トレーニングを視察するアギーレ新監督(写真左)【写真提供:マジョルカ】

代表招集中の久保は出遅れ、イ・ガンインのサブに回る可能性も

 今後は新監督の下、週末返上で練習(またはミーティング)を行うだけに、代表招集され大移動が待っている久保は新体制で出遅れることになる。また、イ・ガンインと同タイプと判断されればマジョルカで練習を続けている韓国人選手のサブに回る可能性もある。

 そういう意味では、ルイス・ガルシア体制で保障されていたレギュラーの座が約束されているとは限らない。また守備力強化を前提に考えるとDFの人数が増えたり、あるいは攻撃時の味方の押し上げが少なくなる可能性がある。これまでとは違った起用時間が限られる状況で、あるいはカウンターや少人数での時間をかけない攻撃の仕掛けを求められるケースが増えるかもしれない。

 私見としては、監督交代をするなら今回が最後のタイミングだったと見ている。前監督は最近数試合で5バック、2トップ、久保を含めた右左サイドMFの入れ替え、メンバー変更(久保のサブ落ち)など多くの手を打ったが結果は変わらなかった。ガルシア監督解任前の最後のエスパニョール戦では攻撃でも判断に躊躇する場面が散見され、勝てないことによる自信喪失と事態の悪化が加速している感が否めなかった。代表戦ウイークでちょっとした準備期間が与えられることも体制変更にとってはプラスになり得る。

 もっともアギーレ氏が最適任者なのかについては正直なところ疑問だ。仮に1部残留した場合には来季の続投が約束されているという面では、クラブの中長期的な構想に支障をきたす恐れもある。

 それでも現状では1部残留をすべてと考え、どういう形でもいいから結果がほしいということなのだろう。危機的な状況での采配という点ではアギーレ氏は経験豊富でエキスパートと言うこともできる。また今後に残っているホームの4試合のうち、2つはアラベス(19位)、グラナダ(16位)との直接対決で、最終の2節はホームのラージョ(13位)、アウェーのオサスナ(10位)という1部残留が確実で上位進出も望み薄となっている目標を失ったチームとの対戦になる。

 久保を含めた選手たちが精神的な落ち着きを取り戻し、挑戦者として目の前の試合に立ち向かう姿勢になれるかが降格圏脱出へ向けた最初の一歩になるだろう。

(島田 徹 / Toru Shimada)

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島田 徹

1971年、山口市出身。地元紙記者を経て2001年渡西。04年からスペイン・マジョルカ在住。スポーツ紙通信員のほか、写真記者としてスペインリーグやスポーツ紙「マルカ」に写真提供、ウェブサイトの翻訳など、スペインサッカーに関わる仕事を行っている。

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