マジョルカ久保、レギュラー剥奪も 元日本代表監督アギーレ氏の招聘から読み解く“再建策”
【スペイン発コラム】1部残留が目標のマジョルカ、課題改善に向け守備整備がポイントに
日本代表MF久保建英が所属するスペイン1部マジョルカが、成績不振によりルイス・ガルシア監督を解任し、日本代表を率いた経験のあるハビエル・アギーレ氏を後任監督に据えた。残り9試合で1部残留を懸けてどう戦うのか、そして久保の起用はどう変わるのか――。就任会見での発言やチーム状況を考慮しながら今後の見通しを予想する。
「クラブについてはずっと注目していた歴史のあるチーム。(クラブ)組織や生活スタイル、マジョルカのすべてにおいていい話を聞いている。だが何よりチームの顔ぶれ。質の良さがあり、とても高いレベルで、目標達成するのが可能な自信がある。そのすべてが私をここに導いた」
アギーレ新新監督はお披露目となった場で地元メディアを前に、自信の取り戻しを図るメッセージを送った。
就任までは慌ただしく決まった。3月20日の対エスパニョール敗戦を受け、22日午後に前監督の解任が決まり、23日退任会見、24日アギーレ氏がマジョルカ入り、就任会見という流れ。アギーレ氏自身も「マジョルカの提示を受けるのに5分もかからなかった」としている。
第2監督としてサポートするトニ・アモール氏がマジョルカ出身でクラブを知ることはプラスに働くだろう。もっとも支配下選手の基本的な情報を持っていたとしても現在の精神状態や選手同士の組み合わせといった現場レベルでの状況把握で多少の時間がかかるのは間違いない。これまでも危機的な状況でチームの舵取りを任せられた経験が少なからずあるだけに、下降傾向が続いているチームをどう立て直せるか新監督の手腕が期待される。
採用するシステムについてアギーレ氏は「手元にあるもの(戦力など)から状況を考慮して導き出されるもの。相手の機能や自分たちが必要とするポイントからやっていかなければならない。今は次のヘタフェ戦のことだけを考える」としている。
アギーレ氏は直近のモンテレイ(メキシコ)では攻撃的な4-3-3で戦っていた。一方、2019-20シーズンのレガネスでは守備を厚くした5-4-1を基本布陣とし、30試合で10勝10分10敗と最下位に沈んでいたチームを浮上させ、最終節でリーグ王者レアル・マドリード相手に勝っていれば逆転での1部残留を果たすところまでチームを導いた(結果は2-2で降格)。
マジョルカでの挑戦も1部残留という目標では同じ。またチームの課題として戦術的な反則を犯さない淡白なプレーぶりが懸案として残っているだけに、まずは守備の整備が大事になってくるだろう。
島田 徹
1971年、山口市出身。地元紙記者を経て2001年渡西。04年からスペイン・マジョルカ在住。スポーツ紙通信員のほか、写真記者としてスペインリーグやスポーツ紙「マルカ」に写真提供、ウェブサイトの翻訳など、スペインサッカーに関わる仕事を行っている。