三笘薫なら「心配ない」 英記者が南野拓実との“違い”を評価、W杯での先発起用を推奨
苦しんだ東京五輪とは異なり、三笘がオーストラリアに「恐怖を与えた」
森保一監督率いる日本代表は3月24日、敵地で行われたカタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選第9節オーストラリア戦に2-0で勝利した。かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、W杯を6大会連続で取材した英国人記者のマイケル・チャーチ氏は、MF三笘薫(ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ)が本大会では先発として起用されると、期待を寄せている。
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三笘薫が試合終盤に登場するのはこれが初めてではないが、オーストラリア戦での爆発的な活躍は人々の記憶に長くとどまることになるだろう。
あの決定的な2ゴールは、日本がオーストラリアに引き分けに持ち込まれると思われた矢先に生まれた。グラハム・アーノルド監督のチームを撃破しただけでなく、日本を7大会連続のW杯出場へと導いた。
試合の後半は、三笘の投入が待ち望まれる展開だった。南野拓実(リバプール)はチャンスを生かせず、浪費家のようなプレーを繰り返した。
だが、三笘にはそのような問題はなかった。勇敢で、技術があり、一直線にゴールに向かう彼は一度ボールを持てばDFに難題を押し付けることができる。彼に近づこうとすれば、鋭い加速とトリッキーな動きでかわされてしまうし、タイトに行き過ぎても彼ならファウルを誘うことができる。ほかの優れたウインガーと同様に、彼は相手に恐怖を与えることができる。
昨夏の東京オリンピックで、三笘の才能が発揮された場面はほんのわずかだった。3位決定戦のメキシコ戦(1-3)では終盤の登場から得点も決めたが、あまりにも遅かった。そして、森保一監督のチームはメダルを逃した。
しかし、今回はそのような問題は起こらなかった。前半にトレント・セインズベリーが権田修一に対するファウルが取られた場面は、サムライブルーにとっては幸運だった。山根視来のオウンゴールは認められるべきだった。だが、それらのことを踏まえても日本はいいパフォーマンスをしていた。
ぎこちのないオーストラリアがあれだけ長く同点でいられたのがむしろ幸運だったと言えるかもしれない。トム・ロギッチとアーロン・ムーイを欠いたオーストラリアはクリエイティビティーに欠け、ミッチェル・デュークのパフォーマンスは彼がなぜ日本の2部リーグでプレーしているのかを示していた。
マイケル・チャーチ
アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。