森保監督は「評価されるべき」 元日本代表DF、オーストラリア撃破の“采配的中”絶賛
【栗原勇蔵の目】カウンター要員で起用した三笘が2ゴール「意図したことがそのまま出た」
森保一監督率いる日本代表は、3月24日に敵地で行われたカタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選第9節オーストラリア戦で2-0と勝利し、7大会連続の本大会出場を決めた。途中投入したMF三笘薫(ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ)が2ゴールを挙げる活躍を見せたなか、W杯アジア最終予選への出場経験も持つ元日本代表DF栗原勇蔵氏は、「森保監督は評価されるべき」と采配的中を称賛した。
森保監督は、大一番にGK権田修一(清水エスパルス)、DF長友佑都(FC東京)、DF吉田麻也(サンプドリア)、DF板倉滉(シャルケ)、DF山根視来(川崎フロンターレ)、MF遠藤航(シュツットガルト)、MF田中碧(デュッセルドルフ)、MF守田英正(サンタ・クララ)、FW伊東純也(ヘンク)、FW南野拓実(リバプール)、FW浅野拓磨(ボーフム)というメンバーを送り込んだ。
日本は前半28分、南野がペナルティーエリア内で2度の切り返しから右足シュートを放つも、これは枠を捉えられず。さらに同32分、伊東の右サイドのクロスから南野が頭で合わせたが、ボールはクロスバーに当たってしまった。同37分に長友の左サイドのクロスから中央で南野が合わせた場面もクロスバーに嫌われた。
スコアレスで折り返した後半も一進一退の攻防が続いたなか、森保監督は同19分に浅野に代わってFW上田綺世(鹿島アントラーズ)、長友に代わってDF中山雄太(ズウォレ)を投入。さらに後半39分、三笘とMF原口元気(ウニオン・ベルリン)を送り込むとスコアが動く。
後半44分、山根と守田のパス交換から山根がゴールライン際から中央へ折り返し、ゴール前に走り込んできた三笘が右足シュート。ゴール左隅に流し込み、待望の先制点をもたらした。敵地で優位に立った日本は、後半アディショナルタイムにも三笘が左サイドから個人技でゴール前に侵入し、そのままシュートまで持ち込んで追加点。日本は2-0で勝利し、7大会連続のW杯本大会出場を決めた。
栗原氏は「今日は結果がすべて。どんな形であれ、采配が良かった」と、大一番で勝利をもぎ取った森保ジャパンを称えた。
「原口が入って守りに行く気もしたなかで、三笘投入の狙いとしては、攻めに来るであろうオーストラリアに対してのカウンター要員。三笘の一発狙いは、森保監督が今日評価されるべき点だと思います。戦い方も最初から引き分けを狙いに行っていたわけじゃない。諸刃の剣の部分は多少あったかもしれないですけど、自陣でカメになって縮こまっていたら日本の特徴は出なくて、隙さえあれば点も取りに行くし、試合の運び方も上手だった。上田の交代も、まだ攻めに行く姿勢があったと思います。結果の世界なので、上手くいったことは評価されるべき。意図してやったことがそのまま出た。選手の力であり、森保監督の手腕でもある」
1998年のフランスW杯から7大会連続で本大会出場の権利を勝ち取り、日本代表OBでもある栗原氏は、「サッカーのワクワク感、どうしても負けられないドキドキ感を見る人はみんな求めている。森保監督、選手たちには拍手を送りたい。1試合を残して決めたことも評価されるべきだと思います」と選手、監督、スタッフを労っていた。
(FOOTBALL ZONE編集部)
栗原勇蔵
くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。