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侵攻から1か月が経過したウクライナの今 サッカー連盟広報が戦火の首都キエフで情報発信するワケ
キエフ郊外に一時避難も、「家がロケット砲で破壊」されて再びキエフへ
私はウクライナサッカー連盟の広報担当です。しかし、今は戦時下です。このような状態で、残念ながらフットボールなどスポーツの活動は極めて困難です。
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キエフにあるウクライナサッカー連盟の本部は戦時下ということで、現在は医療センターとして利用されています。連盟はウクライナ西部で、ハンガリー国境近くの都市ウジホロドで暫定的なコーディネーションセンターとして機能を続けています。連盟のスタッフもそこに移りました。現地ではサッカー連盟は他国からのサポートを受けながら、人道支援活動や住民の生活支援などに従事しています。
連盟でも仲間の多くはウジホロドに向かいましたが、私は戦時下ですが、休暇という扱いでキエフにとどまることに決めました。ジャーナリストとして、世界中にウクライナの現状を伝えるという自分なりの戦いを選んだことが理由です。ブログを立ち上げて、キエフからニュースを発信しています。ウクライナ軍に寄付をしながら、ボランティアとしての活動も続けています。
ウクライナに対して、ロシアは恐ろしいプロパガンダを展開しています。ウクライナをファシストから解放するとか、荒唐無稽な主張を展開しているわけです。しかし、今回の侵攻で、ロシア国民も自分たちの本当の顔をまざまざと見る機会になったと思います。ロシアの人々も今回の侵攻に対して嘘が存在していると気づいてほしい。
ウクライナにとっても、世界に侵攻の事実を理解してもらうことが大事だと思っています。ウクライナ人だけでなく、国外の人々にも情勢を正確に理解してもらうことが必要です。ロシアは侵攻を続けようとしています。ウクライナに続いて、侵攻を受ける国が現れないとは限りません。ポーランド、エストニア、リトアニアなのか。もしくはNATO(北大西洋条約機構)の加盟国か。日本も無関係ではないのかもしれないのです。
私のブログでは、英語、ウクライナ語だけでなく、ロシア語でもニュースを発信しています。ロシアの人にもウクライナ侵攻の現実を見てもらいたいという思いがあるからです。ロシアからも多くのアクセスがあります。当初はキエフ郊外に避難していましたが、侵攻10日目に家がロケット砲で破壊されたので、妹家族の住むキエフ中心街に一族で住んでいます。
侵攻を受けて、改めて感じていることは、愛している人や自分自身にいつ、何時、どんなことが起こるのか分からないということです。(ロシアの)プーチン(大統領)のような人間がヒットラーのような侵攻を続けています。そうなれば、命や人間としての尊厳がいつ蹂躙させるのかわかりません。こんな恐ろしい侵攻はもう絶対に起きて欲しくない。そう願っています。
ユーリ・マズニチェンコ(Yuri Maznychenko)/37歳、キエフ出身。2007年からスポーツ記者として活動。12年にウクライナサッカー連盟の職員に。広報担当を務める。現在はキエフに留まり、自らのブログメディア https://teletype.in/@yumatoryを立ち上げた。ロシア侵攻とウクライナ情勢を現地で伝える傍ら、戦火で取材を続けるジャーナリストのために支援を呼び掛けている。
(FOOTBALL ZONE編集部)