“パリ五輪世代” のU-21日本代表「序列考察」 荒木、鈴木、“飛び級招集”の18歳松木らタレント集結、3つのシステム次第で配置転換も
【識者コラム】ドバイカップ参加の大岩ジャパン、各ポジションの競争に注目
“パリ五輪世代”として注目されるU-21日本代表は、今月23日(現地時間)からUAE(アラブ首長国連邦)で行われるドバイカップU-23に参加する。大岩剛監督が就任後、初の国際大会でどのようなパフォーマンスを見せるのか。ここでは招集メンバーを整理し、各ポジションの序列争いを考察する。
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2年後のパリ五輪を目指すU-21日本代表は、最初の海外遠征となるドバイカップU-23に臨む。3月23日(現地時間)にクロアチア、26日にカタール、そして29日に順位決定戦の3試合が組まれている今大会のメンバーには27人の選手が招集され、そのうちDF大畑歩夢(浦和レッズ)とMF鮎川駿(サンフレッチェ広島)のが辞退となったが、非常に楽しみなメンバーが揃っていることに変わりはない。
選手の合流、離脱の時期にばらつきがあるなかで、コンディションも考えながら3試合でできるだけ多くの選手に出場機会を与えて、国際試合での実力を見極めることになりそうだ。大岩監督はチーム発足後最初の国内合宿で4-4-2、4-2-3-1、4-3-3の3つのシステムを試しており、固定的なシステムに拘らずに選手の組み合わせや相手との噛み合わせで使い分けていくと想定できる。
GKから見ていくと、ポルトガルの名門で挑戦を続けるGK小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)、東京五輪のメンバーであるGK鈴木彩艶(浦和)、昨年からルヴァン杯や天皇杯などで存在感を見せているGK佐々木雅士(柏レイソル)の3人が競う構図だ。東京五輪と違って予選があるので、GKとて悠長に成長を待っていられない状況なだけに、この大会からハイレベルな競争が求められる。
センターバック(CB)はA代表の経験もあるDF西尾隆矢(セレッソ大阪)が中心で、あとはほぼ横一線か。DF鈴木海音(栃木SC)は1対1でボールを奪う能力が高く、DF木村誠二(モンテディオ山形)は空中戦を含むコンタクトプレーに強い。さらに統率力もある選手だ。DF馬場晴也(東京ヴェルディ)は長短のビルドアップに優れた選手。欧州クラブへの加入も噂されるDFチェイス・アンリ(尚志高)はまだ粗削りだが、抜群の身体能力と前向きな姿勢が将来性を感じさせる。
サイドバック(SB)は大畑の欠場で、左右をこなせるDF内野貴史(フォルトゥナ・デュッセルドルフ)も左に専念することなるかもしれない。右はこの世代のリーダー格の1人であるDF成瀬竣平(名古屋グランパス)と、持ち前の守備力にビルドアップなど攻撃センスも加わってきたDF半田陸(山形)のハイレベルな競争が予想される。左で内野と競うのはセットプレーの左足キッカーとしても期待されるDF加藤聖(V・ファーレン長崎)だ。
中盤は3つのシステムで配置が変わってくる。例えば飛び級招集となった18歳MF松木玖生(FC東京)は2ボランチもこなせるが、やはりFC東京で定位置となりつつある4-3-3のインサイドハーフのほうが、現時点の序列は上がるかもしれない。そうした適正は京都サンガS.C.で“ホールディングセブン”と呼ばれるアンカーのポジションに慣れ親しむMF川﨑颯太にも言える。ただ、代表チームでは新たなチャレンジも必要であり、大岩監督はそうした固定観念を崩す選手起用をする可能性もある。
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。