豪州の“秘密兵器”、34歳帰化FWは何者か? 「J助っ人」に喩えて母国記者が解説、日本へ外国籍選手の帰化“再考”も提唱
ウルグアイ出身FWフォルナローリが帰化選手として招集、現地での評判や特徴に言及
カタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選で日本代表と対戦するオーストラリア代表は、ウルグアイ出身の34歳帰化FWブルーノ・フォルナローリ(パース・グローリー)を初招集した。現在、グループBで3位につけ、自力での本大会出場権獲得となる2位以内進出へ2連勝が最低条件と、まさに後がない状況。そんなタイミングで現れた“秘密兵器”は、一体何者なのか。日本在住のオーストラリア人ジャーナリスト、スコット・マッキンタイヤー氏がその正体を暴くとともに、日本に対し外国人選手の帰化“再考”を提唱している。
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フォルナローリのオーストラリア代表入りに関してはここ数年でメディアやファンの間で話題になっていた。それでも、市民権獲得がこの段階で認められ、日本戦が行われるこのタイミングで招集されたことは衝撃と言わざるを得ない。
ポジションは違えど、Jリーグで喩(たと)えるなら、鹿島アントラーズなどで優れた実績を積み重ねたブラジル人MFレオ・シルバのような外国籍選手が日本代表入りするような印象だろうか。
長年に渡り、彼はAリーグ最高のストライカーの1人であり続けた。オーストラリアでは2試合に1得点以上という圧巻の得点を記録してきたのだから。
フォルナローリは生来のストライカー。ボックス内で最も危険な存在となる。味方へのアシストなど供給力もあるが、どこからでもゴールを決められる。サッカールーズにはこのタイプの選手は存在しなかったタイプでもある。
史上最強でないにしても、Aリーグ史上最も優秀な外国人選手の1人である彼を、オーストラリア代表の舞台で見ることができるのはファン、サポーターにとって至福と言える。
日本戦ではフォルナローリだけではなく、FWニコラス・ダゴスティーノ(メルボルン・ビクトリー)、DFナサニエル・アトキンソン(ハート・オブ・ミドロシアン)という初招集組もいる。
FWマルコ・ティリオ(メルボルン・シティ)、MFコナー・メットカルフェ(メルボルン・シティ)、MFデニス・ジェンロー(トゥールーズ)という若手もチームにエネルギーを注いでくれるだろう。台頭してきた新世代のタレントのポテンシャルが最大限に生かされるチームになろうとしている。
フォルナローリのように、外国人選手の帰化については日本代表も再考すべきではないか。日本代表の大きな問題点と言えば1トップ。帰化できればすぐに貢献できそうなタレントが日本にはたくさんいる。FWレアンドロ・ダミアン(川崎フロンターレ)、MFディエゴ・ピトゥカ(鹿島)、最終ラインでいえばDFジェジエウ(川崎)もそうだ。日本国籍を取得すれば、代表でいきなり即戦力になれるJリーグの外国人選手もいる。
FIFAの帰化選手のプロセスでは、別の国で代表選手としてプレーした実力者も他国の代表としてプレーできるようになった。ラグビー日本代表を支えているのは多くの帰化選手。サッカーの歴史でもMF三都主アレサンドロ、DF田中マルクス闘莉王という偉大な帰化選手の成功例を持つ日本代表だけに、チーム強化のために検討の余地はあるのではないか。
(スコット・マッキンタイヤー / Scott McIntyre)
スコット・マッキンタイヤー
東京在住のオーストラリア人ジャーナリスト。15年以上にわたってアジアサッカー界に身を置き、ワールドカップ4大会、アジアカップ5大会を取材。50カ国以上での取材経験を持ち、サッカー界の様々な事象に鋭く切り込む。