100分の1を手繰り寄せた壮絶な執念 鹿島戦2発のレッズ李のストライカーとしての矜持とは

「サッカーの神様、ありがとう」

「一度(スピードを)落として相手をブロックすることでスペースが作れる。(元浦和FWの)ワシントンがああいう風に決めるのがうまかったですよね。あのまま突っ込むとスペースがなくなるんで」

 冷静な判断で勝負の場所を確保すると、お手本のように相手GKと最終ラインの間に入ってきたボールを右足で決めた。

 そして同28分、李がストライカーの証明といえるようなプレーで決勝ゴールを挙げた。左サイドを抜け出したMF武藤雄樹がグラウンダーのシュートを放ったが、ボールはGK曽ヶ端準の正面に飛んだ。それでも李はゴール前に入り込む勢いを緩めることなく詰めた。これを、曽ヶ端がファンブル。それを逃すことなくゴールに蹴り込んだ。「100回狙って1回あるかないかというゴールだけど、FWなら100回詰めてなきゃいけない。サッカーの神様にありがとう、という気持ちです」

 100分の1を猛烈な執念で手繰り寄せた。

 「僕はサッカーを始めた時から点取り屋」と語る生粋のストライカーは興梠の代役にとどまるつもりはない。名門対決で浦和を逆転勝利に導いたストライカーは「(興梠が)いない間に何点取れるかが自分の勝負だと思っています」とさらなるゴールラッシュを誓っていた。

【了】

轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

 

 

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